夕暮れ、落ちていく…【青】 (ページ10)

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とっくに空は暗くなり始めてて撮り溜めた写真を1枚1枚丁寧に確認していく

夕日をバックに弓を射る涼太くんの姿は勇ましくてまさに今回のコンクールに出す作品のテーマにピッタリ

急なお願いにも関わらず二つ返事で承諾してくれたことに深く感謝だ

｢お待たせ、もう暗いし送ってくよ｣

『でもお家逆方向だし大丈夫だよ。そもそも私が付き合わせちゃったんだし』

以前翔太くんと帰った日の次の日ゆまから3人とは家が逆方向だと聞いて申し訳ないと思った思い出がある

｢んー。じゃあこうしよ、俺とお話しない？｣

『えっ、どういうこと？』

どこか他の人とは違う空気感の涼太くんのペースに結局乗せられて暗い夜道を並んで歩く

｢Aちゃんから見て翔太ってどう？｣

『いきなりだね……どう、かな』

さっきまで他愛もない話をしてたのに急に真剣な顔をするものだから口篭る

一体どういう意図なのか

｢ほら、翔太って口が悪いところあるでしょ？女の子に話しかけられても素っ気ないことが多くてさ」

『そうなの？』

｢だからAちゃんと楽しそうに話してるの見て嬉しかったんだよね｣

本当に嬉しそうに笑う涼太くんにつられて口角が上がる

"翔太くんは明るくてちょっと意地悪してくることもあるけど、それが彼なりの優しさなのかなって思ってる"

そう伝えると涼太くんは少し目を見開きまた細めた

｢Aちゃんももしかしてずっと一緒にいた？｣

『ふふっ、どうだろうね』

スマホのロック画面に映る翔太くんが"んなわけねぇだろ"って笑ってる気がした