夕暮れ、落ちていく…【青】 (ページ20)

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ダンス部の練習が終わる頃、空は少しオレンジ味が増していた

「お待たせ」

『お疲れ様。全然待ってないよ』

「Aもお疲れ様。じゃ帰るか」

練習着から制服姿に変わった翔太くんの横に並ぶ

2回目の2人きりでの帰路

相変わらず心臓のバクバクは止まらなくて自然と視線は下に落ちていく

「あのさ、」

どこか気まずそうに切り出した言葉の続きを待つが中々声が聞こえず顔を上げた

どこを見てるのか、難しい顔をしたまま真っ直ぐ前を見ている翔太くんを見る

「好きな奴っている？」

『……えっと』

それは、どういう意味で聞いてるの？

唐突すぎる話題に困惑して固まる

また二人の間に沈黙が流れ"やっぱり今の気にしないで"

早口で話題を切り上げられた

『いる……かな』

「ｯ、そ…っか」

ここで終わらせれば良かったのに気づけば口にしていた

こんなことで気づいてもらえるとでも思ったのか、私はバカなんだろうか

ﾁﾗｯと翔太くんを盗み見ると切なそうに笑っていた

『翔太くんは、いるの？』

「うん。……でも諦めないといけないっぽい」

『ぇ』

なんて羨ましい

彼に思ってもらえる顔も名前も知らない女の子に嫉妬なんてしたって仕方ないのに

『私も、諦めないとかなぁ』

自傷気味に笑うと翔太くんの足が止まり何か言いたげな顔をしていた

「……きっと上手くいくよ。諦める必要ないって」

『そう、だといいな』

俯き呟いた私には彼が悲しそうな顔をしていることを知るよしはなかった