満月、赤い炎が咲く夜に【煉獄杏寿郎】 (ページ16)

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白い光が十五輪ページ16

何も言えなかった。

確かに一件彼女の記憶を戻そうとしているように見えるだろうが

心の奥ではこのままの方が幸せなのではと囁くもう一人の自分がいる

『どら焼き美味しい！煉獄さんありがとうございます！』ﾆｺｯ

そう言って笑う姿は以前の彼女そのもので、

だが姿は自身と同じ鬼殺隊ではなく町娘と何ら変わりない

煉｢良かった！他に行きたいところはあるか？｣

『んー特には、………ぁ、』

煉｢どこかあったか？｣

『煉獄さんと会ったところに行きたいです』

煉｢？｣

俺と会ったところ？

煉｢薔薇園の事か？｣

『はい！あそことっても綺麗でしたよね。今行けば夕日が綺麗なんじゃないですか？』

煉｢……｣

正直なところあそこには近づきたくない

もうこの時間は戻ってこない気がして……

『駄目…ですか？そうですよね、結構険しい道でしたし』

しゅんとする姿は捨てられた子犬のようで断ることは出来なかった

山を登り始めてやっと山頂に着いた頃

彼女の言う通りちょうど夕日が沈むところだった