ヒロインなんて大嫌いよ。

#２５ ページ25

別に好きなわけじゃないんだけど。







ユンギ先輩には言って欲しくない。






どうしてかなんて分からない。






でも、今までの人とは違っていて欲しい。そう思ってしまった。






こんな風に、お互いの利益とか不利益とか何も考えずに、一緒にいてくれる人は久しぶりだったからかもしれない。





今までの人にとって私は、桜に近づく為の踏み台だった。







親友も、恋人も。







この人の為なら死んでもいいと思えた最低で死ぬほど憎くて、最愛の人も。

名前すら思い出したくない。








みんな、みんな。







最後には、桜のものになる。






ここで、


｢ユンギ先輩は、私と帰るから｣


とでも言えるような強さがあればいいんだけど。





生憎、そんな強さは持ち合わせていない。





誰か、分かって欲しい。





気が強そうに見えるのかもしれないけど。




私は、強くなんかない。






"か弱い桜ちゃん"




より、もっとずっと、弱くて、脆い。





あぁ、涙が溢れそうだ。





二人に気づかれたくなくて、後ろを向く。





背中越しに聞こえる、甘ったるい桜の声。









ユンギ先輩、貴方も今までの人と同じですか？




私は先輩に強く見えていますか？

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