武道.敦 ページ13
武道side
『はあ?!彼氏ィ?!』
「うるせーわバカ」
まだお試しだけどね、と呑気にアイスを食べながら俺の姉ちゃんは言う。
ある夜突然カミングアウトされたその事実。
俺を驚かせるには十分すぎる情報だった。
『で、でもイヌピーくんのことがあってからめちゃくちゃ慎重だったじゃん。なんかあったの?』
「いや?ただ向こうが私に告白してきたの。別に嫌いじゃないけど好きでもなかったから素直にそう言ったのね」
そしたらお試しでもいいからと食い下がられたとソファに座る。
その横顔はどこか虚しそうな顔をしていて。
普通こういう話って浮かれるとか気持ち悪がるとか、そういう顔をするもんなんじゃないのか。
俺は姉ちゃんのその顔が不思議でならなかった。
「そうまでして付き合いたいもんかな」
『それ弟に聞く?』
「あ、ゴメンね。確かに面白い話でもないよね」
いつのまにかアイスを食べ終えた姉ちゃんは、ゴミを捨ててさっさと自室へ行ってしまった。
おやすみ、と気の抜けた返事をしながら。
『…ってわけ、なんだけど。…あっくん大丈夫?』
敦「…そう見える?」
『今にも倒れそうなくらい青く見える』
だろうな、とその場にしゃがみこむ。
親友のあっくんは俺の姉ちゃんが好きだ。
友達として恋は応援してやりたいところだけど、相手が自分の姉となるとそうもいかない。
あっくんが良いヤツなのは知っているけど。
『俺が言うのも変だけどさ。元気出してよ』
敦「サンキュ。てかタケミチに応援されても複雑だわ」
『俺だって複雑だよ勘弁しろ』
敦「はは、確かに」
いつものにかっと笑うかっこいい笑顔じゃなく、顔中に力が入っていない顔だ。
教えない方がよかったかもしれない。
敦「…あーヤバ…ちょっと俺今日フケたい…この状態で授業とか無理…」
『付き合おうか?俺らどうせ授業なんか聞いてないんだし』
敦「いいな」
アイスでも食おうぜとあっくんが提案したので、近くの駄菓子屋まで歩く。
てくてくと歩く道中、あっくんは気まずそうに話してくれた。
敦「綺麗事に聞こえるかもしんねえけどさー…俺Aちゃんが幸せならそれでいいかなって思ってたんだよね」
『うん』
敦「けどいざ誰かのモンになってみるとさ、案外そういうこと思えないんだな」
俺ってクソ野郎なのかなと公園を見つめる。
昼過ぎで誰もいない公園だった。
『…俺は、そんな風に思わねえけどなァ』
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アヤメ - すごく面白いです!!夢主モテまくり!もっと愛され?まくってほしいです!全員と河田兄弟、灰谷兄弟ももっと絡んでほしい…!!更新応援してます!! (2023年1月31日 2時) (レス) id: 2cc13cb731 (このIDを非表示/違反報告)
澪 - えっ!元カレがイヌピーだと・・・。 最高じゃないですか。 (〃`∀´〃)ウヒャ♪ (2021年11月11日 18時) (レス) @page4 id: 029eb9d67f (このIDを非表示/違反報告)
ちゃこ - エマ「…事情聴取!!」『ぐぇっ』机(?)叩いてズイッて近づいてそう (2021年10月6日 16時) (レス) @page2 id: 43861cdfb1 (このIDを非表示/違反報告)
ただのヲタク - 続編おめでとうございます!!応援してます! (2021年10月4日 17時) (レス) @page1 id: 1fee27c7e2 (このIDを非表示/違反報告)
ドン - 夢主人公のイメージイラストが見てみたいです! (2021年10月4日 15時) (レス) id: 9e05ed3410 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つか | 作成日時:2021年10月4日 13時