谷地姉は妹を溺愛している (ページ4)

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訪問と挨拶ページ4

カツっとヒールの踵を鳴らして歩く。

浅めのヒールは私の身長を少しかさ増しさせるが、隣にいる彼には到底届かない。

銀｢やっと着いたなあ宮城｣

『せやな、長旅お疲れ』

銀｢Aもお疲れ。どっか座るか｣

『ちょっとだけ座ろ』

近くのファーストフード店に二人で座り、ふう、とひと息。

銀｢侑らは連れてこんでよかったんか？｣

『あいつらはええよ。合宿までお預け』

それにしても、と続ける。

『久々に宮城帰ってきた気ぃするわ』

銀｢お父さんの転勤に着いてきたんやったっけ｣

『そう。あんまり寂しい寂しいって駄々こねるもんやから』

銀｢一回デート中に会った時えらい怖かったん覚えてるわ…｣

頬杖をついてはあ、とため息をつく。

懐かしいと同時に憎くもあった。

仁花を傷つけるやつを育んだこのまちが。

銀｢そろそろ行こや。Aん家行くんやろ｣

『せやな、はよ仁花に会いたい』

電車を乗り継ぎ、駅から徒歩5分。

そびえ立つ大きなマンションが見えた。

迷いなく番号を押して部屋のインターホンに繋ぐ。

『お母さん？Aやけど』

《ああ帰ってきたのね。上がってらっしゃい》

行こ、と結を促す。

ラフな格好をしていた結は今更焦っていた。

ちゃんとした服来てくれば良かった…と。

『やっほーい！ただいま！』

母｢あらおかえ…後ろの子は？｣

流石マミー、目ざとい。

『ついでに紹介したくて連れてきたん。あたしの彼氏の』

銀｢ぎ、銀島結です！娘さんとお付き合いさせてもうてます！｣

母｢…うふふ、あらあらあら｣

『…顔うざ』

母｢照れなくて良いでしょ。銀島くん？上がってちょうだい｣

銀｢はい！失礼します！｣

お母さんは好青年らしい格好、挨拶をした結に好感を抱いたらしく、やたらお菓子を勧めていた。

そんなんいらんねん。

『…なあ、仁花今何してる？』

こっちには聞きたいこと山ほどあんねんから。

母｢今は部屋に居るはずよ。今日は部活を休んだの。体調が良くないらしいのよ｣

『…そっか。結、ちょい待っててな』

待たせてもらうわ、と母と話す結をリビングに置いて一人廊下を歩く。

｢ひとか｣のプレートが吊るされた部屋をノックした。

『仁花？お姉ちゃんやけど、開けてくれやんかな』

返事はなかった。

ラインを送ってみると、今コンビニに居るとのこと。

私は母と結に言って家を出た。