心操人使 ページ42
俺の好きな人は運動神経が良い。
どれくらい良いかって言うと、個性を使っている緑谷に張り合えるくらい。
ボールを投げさせれば世界記録、走らせれば車以上、立ち幅跳びなんかは砂場に収まらない。
個性の使用なしで。
どこのコミックヒーローかと思う。
そんな運動神経の良い彼女だから、俺なんかが追いかけたところで2秒で撒かれる。
捕縛布でぐるぐるに巻いても4秒が限界だ。
本当に化け物じみていると思う。
『…』
｢…しん、そ｣
だから、俺が転けて押し倒してしまったのも、俺の口が彼女の唇に触れてしまったのも。
君なら避けられたのでは、なんて考えてしまうんだ。
『本当にごめん』
｢頭下げなくていいから！｣
顔上げてよ、と困っている声が頭上から聞こえる。
相澤先生の推薦で訓練に付き合ってもらってる途中、先生が抜けたタイミング。
気がゆるんだのか、足を取られてもつれてしまった。
そしたら目の前の彼女を押し倒したみたいな体勢になってしまって。
それだけならよかった。
いや、良くはないが。
あろうことか、唇に触れた感覚がしたのだ。
ほんの一瞬、されど俺にとっては永遠のような一瞬。
『本当に…言い訳じゃないけど、わざとじゃないんだ』
｢本当に大丈夫だから、気にしないで｣
事故だし忘れよ、なんて笑いながら言う。
君にとってはその程度のことかもしれない。
だけど俺にとってはそう簡単に忘れられるものではない。
しかしそれを言ったら君はどんな顔をするだろう。
『…分かった』
｢ん、そろそろ休憩しよっか。疲れてるみたいだし｣
2人で地面に座り込んで水を飲むが、心臓のうるささと彼女の何でもなさそうな顔が俺の情緒をかき乱す。
どうして転けたりなんかしたんだ俺。
｢さっきの、本当忘れてね｣
『…うん』
｢彼女ができた時にさ、キスの思い出が事故なんて嫌でしょ｣
眉を下げて笑う。
感情がイマイチ読めない。
『…別に彼女とか作る気ない。から、忘れたくない…ん、だけど』
だけどこれくらいは、伝えてもいいよな。
熱くなる耳を押さえながら目を見て伝えた。
伝わるはずだ、鈍感とは言わせない。
｢…やめてよ｣
『…迷惑、だよな』
｢違う。…私も忘れたくない、から…｣
真っ赤にして目を逸らす。
顔にあった熱が全身へ、体の中心へと伝播していくのが分かる。
結局その後先生が用事を終えて戻ってくるまで、俺たちは無言のままだった。
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Lynn - Lynnだよ。リクエスト追加で、ナイトアイ様お願い。ナイトアイ様と夢主（自分）は夫婦関係でいたいから、呼び方はダーリン ハニーでお願い。コメントはタメで大丈夫。自分もヒロアカ見てるから。返事と更新待ってるよ (2023年2月7日 17時) (
レス) id: 3d10a0695d (このIDを非表示/違反報告)
つか(プロフ) - ネココアさん» ありがとうございます！推し様かっこよく書けていたみたいで何よりです♡ (2023年1月20日 1時) (レス) id: 28e8a4d2b7 (このIDを非表示/違反報告)
ネココア - 推しがかっこいい！！面白かったです！！！ (2023年1月19日 22時) (レス) @page45 id: 429eb29e9c (このIDを非表示/違反報告)
つか(プロフ) - シュウマイ美味しいさん» ご感想とリクエストありがとうございます！！とても嬉しいです♡天喰くん書かせていただきました！勝手に同級生にしちゃいましたが書くの楽しかったです！ありがとうございました！ (2022年11月7日 13時) (レス) id: 28e8a4d2b7 (このIDを非表示/違反報告)
シュウマイ美味しい - 面白かったです。できるなら天喰先輩お願いします🙇♀ (2022年11月5日 19時) (レス) id: 92bc3ece60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つか | 作成日時：2022年10月9日 17時
