ねぇ先輩、【kn】 (ページ4)

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バレンタインになった。

相変わらず、私は自分の気持ちをハッキリさせないままコネシマさんと付き合っていた。

別れたいかと聞かれたら、そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

私とコネシマさんが付き合わなければ、コネシマさんの幼なじみの人は失恋しなかったかもしれないし、私だってこんなにモヤモヤしなかったかもしれない。

そんな事を考えた所で、所詮【もしも】の話な訳で、今を変えられるわけじゃない。

好きでもないのに、今後の関係を心配してその場の空気に流されて付き合ったのがダメだったんだろうなぁ。

……分かってる。分かってるよ。

「すまん！待たせたか？」

『大丈夫です。今、委員会終わった所です』

「そか、なら良かったわ」

早帰りだったバレンタイン当日。

一応、彼氏であるコネシマさんにチョコは作ってきた。
カバンの中に仕舞われた水色の袋は、地味な色の教科書の中で目立っていた。

『…それ、例の幼なじみさんからですか？』

「おん。毎年貰ってんねん」

『凄いですね』

何に対しての凄いですね、なのか。
未だ恋を諦めない幼なじみさんの心意気にか、幼なじみからのチョコを嬉しそうに話すコネシマさんにか。

……ほんとに、好きじゃないの？

私が私に問いかけた。

『コネシマさん、これ私からのチョコです』

「お、すまんなぁ」

『甘いの得意じゃないって、言ってたんで、甘さ控えめにしてみました』

水色のラッピングされた袋をコネシマさんに差し出した。

……1ヶ月後、ちゃんと答えを出そう。

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