スマイルが10個 ページ10
『コネシマー』
「どうした、佐山」
朝練終わりに水を飲んでるコネシマに声をかければ、口元から零れた水を拭いながら振り向いてくれた。
『ショッピ君って、コネシマの後輩だったよね』
「せやけど…ショッピ君がどないしたん？」
『昨日メールあってさ、私話した事ないし…ていうか、メール交換した覚えなくて。コネシマ何か知らない？』
んー？と汗を拭いながら私の話を聞いていたコネシマが、全部聞き終わるタイミングで、あぁ！と手を叩いた。
既に嫌な予感がする。
「それ、俺が教えたんだわ！」
『せめて私に確認とってからにしてくれないかな！？』
佐山ならええやろ、とはどこからくる根拠なのか。
あーっはっはっは、といつもの引き笑いに私は苦笑いしかできない。
相変わらずうるせぇ……悪目立ちがすぎるんだよ、ほんと。
『てかなんで？』
「俺が教えて欲しいって言ったんです。迷惑でしたか」
え、と……？
振り返れば気だるげなアメジストの瞳がこちらを見ていた。ショッピ君だ。私も名前だけは知ってる。サッカー部の期待の新人だって有名だから。
「俺、ショッピって言います。佐山先輩のメールもらったのは、聞きたいことあったんで」
「体育祭について聞きたいらしいんやわ」
教えやってくれや、とコネシマがショッピ君の肩を組んで言ってくる。コネシマはニカニカしてるけど、ショッピ君は嫌そうな顔してる。
『体育祭って…あぁ、委員会のか』
「そうっす。前回の委員会の集まり出られんくて……同学年の奴らに聞いたんすけど、ちゃんとした情報得られなかったんで」
学校行事の委員会は各クラスから1人だ。理由としては色々言われてるけど、1番大きいのは1人でも多くの生徒を体育祭に参加させるためだとか。委員だと仕事が多くて、出られる競技が少ない。
去年も委員やってたのをコネシマから聞いたのか…。直属の後輩じゃなくても頼られるのは嬉しい。
『昼休み教室来てもらっていい？それまでにプリント見つけとくわ』
うっす、と小さく頭を下げてショッピ君は昇降口に向かっていった。
「可愛ええやろ、ショッピ君」
『後輩馬鹿め』
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