スマイルください！【zm】 (ページ23)

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スマイルが23個ページ23

「先輩、暇っすか？」

『……暇に見える？』

「いえ」

体育祭も目前に迫った今日、委員会の仕事でクッソ暑い体育館の中で作業していれば、涼し気な顔をしたショッピ君が声をかけてきたのが10分前。

10分も経てばショッピの額からも汗が流れていて、どこかアンニュイさを感じさせる。

「どうせ明日もこれやんなきゃいけんし、今日はもう帰りませんか」

『……ありだね』

これ、と指さされたのは体育祭と大きく書かれたパネルだ。毎年使い回せばいいのに、毎年新しく作って今はその色塗りの最中だ。

他の委員会の人は外で設営をしてるし、ショッピ君だってパソコン室で予定表を完成させてこっちに来たみたいだし、元々1日で終わる仕事ではないし……。

アイスでも食べて帰ろー、と立ち上がればショッピ君も続いて立ち上がった。

「奢りっすか」

『今日だけね。手伝ってくれたお礼に』

「やりぃ」

どことなく飄々としてるくせに、こういう時だけ後輩面して喜んでくるから憎めない。

アメジストの瞳を細めたショッピ君に、先に校門で待っててもらうことにして私は教室にカバンを取りに向かう。

なんのアイスにしようかなぁ。バニラ、もいいけどさっぱりしたのも食べたいよね。ソーダとかもありかも。

ルンルンと階段を上り、勢いよく教室の扉を開ければゾムがまだ残っていた。

『……や、やっほー』

「…おぅ」

気まづ〜〜〜……。
告白まがいな事をされてゾムとの距離を測りかねている私と、そもそも以前の距離に戻ってくれないゾム。

前はあんなに仲が良かったのに、今ではすっかり他人みたいで。

それがなんだか、無性に悲しくなった。