スマイルが22個 ページ22
ゾムと話せることなく、体育祭1週間前。
いや、話せないと言うのはちょっと違うか。
軽い世間話はできるが、一向に視線を合わせてくれない。
……もしかして嫌われたのかなぁ。
廊下で剣道部の女の子と話しているゾムは、ニコニコしていて楽しそうだ。
最近は部活が忙しくてゾムのバイト先にも行けてないから、学校以外では本当に話すことが無くなった。
それを寂しいと思うのは、仲良くしてた人と距離が開いたからだ……多分。
机に頭をつけて、唸って入れば上から心配する声が聞こえてきた。
『…ぞむ』
「だっ、大丈夫なん？ほほ、保健室行ったりとかせなあかん…？」
『うーん、なんか最近不調なんだよね』
別に体調は悪くないけど、ちょっとゾムに意地悪したくて嘘をついてみた。
「え、ほんま大丈夫なん？体育祭も近いし、早退して体休めた方がええんとちゃう？」
さっきまで視線をウロウロさせていたのに、今は前みたいにしっかり私の瞳を見て言ってくれる。顔にありありと心配です、という文字が浮かんでいて、ちょっと笑った。
『原因は分かってるんだよね〜』
「なんなん？原因って」
『ゾム』
へっ？と間抜けな声を出すゾムに、わざとらしく『無視してきたり、視線合わせてくれなくて悲しいな〜。心が痛いなー』なんて言ってみる。
気まづげに視線を逸らしたゾムは小さく謝ると、もそもそと言い訳をし始めた。
「その、バイトの時助けてくれたやん……その時からなんかおかしいねん。脈早いし、お前に見られると…顔赤くなるし。あと……なんかイライラすんねん」
全部言い切ったゾムに、なんと声をかければいいか分からなくて口ごもっていれば、ゾムは先生に呼ばれて再び廊下の方に行ってしまった。
……あの、もしかして、それって恋ってやつだったりしませんか。
＿＿＿＿＿＿
気がついたら2ヶ月近く空いててビビった。
〜3月までは更新頻度遅めだと思います。
9周年記念ってことで更新しました。
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