スマイルください！【zm】 (ページ19)

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スマイルが19個ページ19

女子高生の奥で、ゾムが目を丸くしているのが分かる。ウケる、その間抜けな顔。

女子高生が何かを言いまいと口を開く前に、ゾムの隣のレジにいた人が慌てて口を開いた。

「ぞ、ゾム君、今日はもう帰って大丈夫だよ。あとは俺が引き継ぐし…リーダーにも言っとくから。ね！」

「え、あ、はい。すみません」

息をついたように見えたゾムは、そのまま奥に消えていった。ナイスファインプレーだ、名の知らぬ人。

私も貼り付けていた笑顔を落とし、もう用事もないし、と踵を返す。女子高生たちは知らん。

無駄に煽ってもロクなこと無さそうだし。

「お前やるなぁ！」

「これは大先生にも見せなアカンな」

『恥ずいからやめてよ……』

プラプラとスマホを振るシャオロンに苦笑いしかない。シャオロンの隣の席に腰を降ろすと、コネシマから飲み物を手渡された。

ジンジャーエールの炭酸が、喉の奥でパチパチと弾ける。案外、喉が渇いていたらしい。

「にしても珍しいよな」

『なにがー？』

「Aがああいうのやるの」

片方にハンバーガーを詰めたシャオロンが、意外そうに呟く。アイスコーヒーを片手にコネシマも頷いた。

『そうかなぁ。友達が絡まれてたら助けようって思わん？』

「思うで？でも、周りに俺らしか居らへんわけやないしさ」

どこか軽薄さを滲ませた返答に、あぁ、と少し納得した。男子の友情ってそんな感じだ。基本的には干渉しない。
ちょっと羨ましくて、全然憧れない。

『別に、迷惑だったからだし……』

あの女子高生たちが帰って行ったのを確認してから口を開いた。

私をイライラさせて迷惑だったから。

周りの人に迷惑をかけてたから。

……ゾムが困ってそうだったから。

ただ、それだけだ。