スマイルが13個 ページ13
「そういやゾムさんどこでバイトしとるん？」
『え、コネシマから聞いてないの？』
「場所までは知らん」
あーなるほど、そこまでは私も言ってなかったな。
まぁ言ったら言ったで絞め殺されるだろうし、言わないけど。
『命惜しいからね。言わないわ』
「はー？ゾムだって女子相手には手加減するから大丈夫やって、多分」
『そもそもなにかされる前提なのやめろ』
大先生もシャオロンも、多分、なんて不安になるような言葉付け足しやがって。
「あー、腹減ったわ。適当な店入ったらゾムバイトしてへんかなぁ」
『どんな確率だ、それ』
どうせ行ってからかいたいだけだろ。
……私もからかったけど。それはそれ、これはこれだ。
私は偶然、バイトしてる場所知ったわけだし。うん。
「そういえば、昔お前に気持ち悪って言ったことあったよな」
『結構な頻度で言われたし、なんなら今も言われてるけど』
突然真面目な顔をしたかと思えば、なんだ私の悪口か。本人目の前にして言うとはいい度胸じゃんか。
「ちゃうくて。ほら、走る理由聞いた時」
『あぁ……あれね。そこまで仲良くなかった時に言われたから、ガチめに殴ってやろうって思ったんだった』
「やめとけやめとけ。お前が俺の事殴ったら死んでまうやん俺が。ゴリラは自分の力わかっとんのやから」
『今殴ってもいいんだよ？ねぇ？その頬出してくれていいんだよ？』
暴力はんたーい、と自分の両手で自身を抱くシャオロンにきも、と短くツッコミを入れて早足で距離をとった。シャオロンには直ぐに追いつかれたけど。
『てかなんで今更そんな話題？』
「今ならなんか分かる気がするなー思て。生きてるって思いたいから走る。あの時はよう分からんかったけど、今なら分かる気ぃするわ」
それだけ！と恥ずかしくなったのかシャオロンは私より前に出てさっさと話題を変え始めた。
耳が赤いのは黙っといてやろう。ゴリラって言ってきたのは許さないけど。
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