スマイルください！【zm】 (ページ1)

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スマイルが1個ページ1

『え、バイト始めたの！？』

「そう！やっと1人で出来るようになってん」

ドキドキするわ〜、と笑うのは隣の席に座るゾムだ。キラキラとするペリドットの瞳を輝かせるこいつとは、1年の体育祭で仲良くなった。

お互い選抜リレーに選ばれて競い合ってるうちに意気投合してその関係が2年になった今でも続いている。

『へぇ、どこでバイトすんの？』

「内緒や。言ったらお前来るやろ！」

『そりゃまぁ。おもし……応援したいなーって』

「面白いって言っとんの分かってんねんぞ！？」

絶対言わん！と腕を組んだゾムにえぇー、なんて拗ねる振りをしながら教科書やノートが入り乱れるスクバから飴を取り出して、ゾムの机に置いた。

『これあげるからさー。だめ？』

「飴1つで教えるほど安ないわ！」

だめ！とついに口を割らなくなったゾムは飴を口に含んで、机に突っ伏してしまった。

あーぁ、と思いながら私も飴を袋から取り出した。メロン味。ゾムの瞳と同じ緑色。

ゾムは1年の冬に怪我をして部活の剣道を辞めた。それから偶につまらなそうにしてたり、部活棟の方を見てはため息をついたりしていて、なんと声を掛けていいのか分からない時があった。

バイトでもすれば？なんて言った時もあったけどその時は「だるいわぁ、そんなん」って言ってた癖に。

まぁ、今楽しそうにしてるしいっか。

『バイト頑張ってね』

「ん、Aも陸上頑張れ」

顔だけこちらに向けたゾムが、ふっ、と笑った。