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「ごめんなぁ…今日も遅刻してもうて。」
「Aへのプレゼントとなるとどうも迷ってまうんよ…」
嫌いだ
まるでそこに彼女が立っているかのように声をかけている自分が嫌いだ。
現実を受け入れられず今年も彼女の誕生日を迎えてしまった事が情けない。
分かっている、目の前に彼女はいない。
そこに彼女がいる訳でもない。
「………っ。」
差し出している花束を持つ手が震えている。
泣いてしまうと目の前にいる彼女が不安になってしまうからこそ自分は精一杯の笑顔を向けているが…
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『チーノ、ありがとう…!』
違う
『プレゼント、大切にするね。』
やめてくれ…
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「……なんで、置いていくんよ」
「抜け駆けなんて、ズルやないか」
我慢すれば我慢する程こんなにも胸が痛くて苦しくて…
どうにも、耐えきれず溢れてくる涙だけは素直なようだ。
それまで曇っていた視界が晴れると共に明るくなり、彼女と自分だけをスポットライトのように照らすと…
一際、強い風が自分の背中を押すように吹くと共に彼女に向けた花束から花びらが舞うように飛んでいく。
これは、彼女が受け取ったと伝えているのだろうか?
だとしたら、残酷な程にもその景色が綺麗で…
彼女と共に見ることが出来たらどれ程幸せだっただろうかなんて考える自分が惨めになってしまった。
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「怖くないんよ。Aが側におってくれるから。」
明日になると、どうもこの世界が終わるのだそう。
運命に抗う事さえもできない自分は、彼女の隣で最後の時を過ごそうと思いゆっくりと隣に座り目を閉じ…
最後の最後まで、世界が終わるなんて好都合な話を信じなかった自分へ
もう、2度と会うことのない大切な彼女にこの花は届いただろうか?
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エンドロールに幕引きを/ht→←皮肉な程にも明日は来る。/ci
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