【ヒロアカ】夜叉遣いの英雄

▽.35 ページ37

.


『相澤、先生…』

ボロボロに折られた腕に掌の刀の貫通した独特の穴


『…ごめんなさい』

頰を濡らす生暖かい雫は、相澤先生の顔に落ち垂れ流れた

「ああああ…だめだ…ごめんなさい…！」

フラフラと落とした手の方に歩いていく死柄木はさっきまでの悠々とした雰囲気は何処にもない


「お父さん…」

その手を父と呼び大切そうに拾い上げ再び顔につけた

フウ…、と一度呼吸をするとボソボソと呟く


「助けるついでに殴られた…ははは国家公認の暴力だ。流石に早くて目に追えない、けれど思ったほどじゃない。
やはり本当だったのかな…？弱ってるって話…」


手の間から覗いた無邪気な子供のような笑みに背筋が凍る


「オールマイトダメです！あの脳ミソ敵(ヴィラン)、ワン…っぼくの腕が折れないくらいの力だけど、ビクともしなかった！きっとあいつ…」

出久は戦おうとするオールマイトを呼び止めた


「緑谷少年、大丈夫！」

目の横にピースサインを作りニカッと笑った


「鏡花ちゃん、行きましょう。オールマイトだもの大丈夫よ。それより今は相澤先生の方が重要だわ」

心配する私を元気づけようとしてくれてるのが十分に伝わってきた


『ごめん。…ありがとう、梅雨ちゃん』

「いいのよ。」

着物の袖で涙を乱暴に拭い相澤先生に負担がかからないように担ぎ上げた


.

▽.36→←▽.34

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す