伸ばした手 2 (ページ49)

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｢その中に、猫おってん、｣

｢猫？｣

｢濡れてて弱ってたんすよ、この寒い中震えててん｣

近くにあったコンビニでミルクと缶詰を買って食べさせた

このまま放って置いたら確実に危ない

捨てた飼い主はきっと、この木の下やったら雨も凌げるって思ったのかもしらんけど、

そんなんこの時期には通用せんし、捨てられた方はたまったもんやない

｢そんな姿見たら、置いて行かれんかった｣

｢…そりゃ風邪ひくわけやわ｣

｢ははっ、ですね。…すいません、連絡せんと｣

｢ほんまや、連絡せんのはあかん、みんな心配しとったで｣

ため息をついたセンパイの顔は、ほんまに呆れ顔で

笑顔にさせたるって思ってたんに、迷惑かけてしもた

｢…ふふっ｣

｢…え、｣

｢小瀧くんらしいわ、｣

俯きそうになった顔を上げると、眉を少し下げながら笑っているセンパイ

いつもはあまりじっとは目を見てくれないセンパイの綺麗な瞳が俺を見つめていて、

少し時が止まった気がした

｢心配した、｣

｢……ごめんなさい｣

｢…事件とか事故に巻き込まれたんかと思った｣

｢…ごめんなさい｣

｢……10円ハゲ出来るかと思た｣

｢…ごめんなさ、……ってそんなに！？｣

｢…嘘。｣と少し間をあけてから真顔で言うから、

…やっぱりセンパイには敵わん。