伸ばした手 2 (ページ45)

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ピンポーン

｢心配やけど、ダンスの発表会近いねん｣

と渋々体育館へと向かった神ちゃんや

｢小瀧はお前に任せたわっ｣

とあっちゅー間に校庭へと消えていった重岡を学校において、

彼の家の前まで来て深呼吸を1つ、インターホンを押した

·····いない？

もう一度、少し強めに押してみても、扉が開く気配はない

え、まさか、、倒れてるとか、そんなことあっちゃったりするんかこれは、

様子見た方が、ええんか·····

嫌な想像が頭の中をかけめぐる

目の前の家に入るのを拒んでいるはずの門が少し開いているのはどういう意味を持っているのだろう

そこに手をかけてみると嘘のように軽く、キーッと音をたてながらあっさりと私を通してくれた

そこから数歩歩いた所にある扉

その周りには赤の花びらに中心は黄色いプリムラが咲いていて

この寒い日に力強く咲いている、

そんなプリムラの花言葉は｢青春の恋｣

この前お姉さんとおしゃべりをしたとき、

確か仕事が忙しくなかなか帰れないと嘆いている彼のお母さんがお花が好きだと言っていた

あとお父さんとお母さんが出会ったのは学生時代と言っていたか、

扉に手をかけるとガチャりと音を立てて開いた

本来なら空いていない鍵が空いていて思わず息を飲む
｢おじゃまします｣と声をかけゆっくりと足を踏み入れ、

手を離した扉がカチャリと閉まる音に少し息を止めた

夏に行った濱田先輩のおばあちゃん家の玄関がとてつもなく広くて、

自分の家は10分の1や言うてた彼の玄関は、靴を全部出しておいてもまだ余るくらい充分広い