伸ばした手 2 (ページ43)

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こんな弱ってるのにいつも通り支度をし家を出てる自分がいて、思わずため息が出る

結局返信が来ない携帯を握りしめながら門を開けても
広がるのは人通りがまばらな、

ただの道。

｢結局連絡なしか…｣

｢おはよう。A｣

｢…おはよう。来てくれたんや。｣

いつもより少し寂しい道を歩こうと踏み出すと

落ちていた視線の先にベースは緑、白の三本線が横に入っていて三葉のマークが目印の靴

顔を上げると全てを察知しているかのように穏やかな、でも心配そうに立ってる神ちゃんがいて

｢連絡、来てへんねや｣

｢…うん。｣

｢…とりあえず行こか。遅れるで。｣

｢…うん。｣

朝おはようと友達に声をかけながら席につくと私の元へかけてきた重岡が珍しく焦っていて、

どないした？と視線を合わせようと私の机に手を置き身を乗り出してこちらを覗いている

｢どないした、そんな真っ青な顔して｣

｢、、、、小瀧くん、昨日から返信ない、家にも帰ってへん｣

｢·····それって行方不明ってことやん、｣

いつも｢おう！おはよう！｣と机の上に座り大きな口を開けて言う彼が

あいさつも忘れてほんまに心配しているように見えて

心配しとるのは私だけやないんやなって思った

｢いつもあいつはダメやぁ！｣と部活で失敗したことをばらまく彼や

｢望最近物忘れ多いんすよ～｣とおじいちゃん扱いする藤井くん

｢のんちゃん勉強せい｣と厳しく、けど優しく勉強を促す神ちゃん

全員が小瀧くんを心配していて、なぜだか少し嬉しくなった

と同時に少し悲しくなった

その感情がなぜ今出てきたのか私にはよくわからへん