伸ばした手 2 (ページ5)

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重岡side

9月にある試合

それは３年生は最後の大会で、

野球でいう甲子園みたいなものであり

３年間のすべてをかけてこの試合に望む

重「はあっ、はあっ、流星パスｯ」

藤「はいｯ…っ、望！パスｯ」

小「あいよっ、任せときｯ」

ボールは小瀧の足から操られているようにゴールに真っ直ぐ飛び

それと共によっしゃ！と所々から喜ぶ声が聞こえてくる

重「本人には言いたくないねんけど、やっぱお前すげぇわ、」

小「せやろ、なに当たり前のこと言ってるん」

藤「あ、鼻の下伸びた」

伸びてへんし、と言いながらめっちゃ伸ばしとる小瀧

だから本人に言いたくないねん

…まあでも、確かに小瀧はすごいやつで

9月にある試合は主に３年生と２年生がでる

しかし小瀧は１年で唯一選ばれ

センパイ達から期待の後輩と言われているほどうまい

重「ほら、小瀧、鼻の下伸ばしてないでさっさと場所に戻って……」

小「……ｯ」

重「小瀧、」

小「……ｯ、」

重「…小瀧！？」

俺の前でうずくまる小瀧

大丈夫だから、そう言う顔は少し青ざめていて

大丈夫やないやんっ、と泣きそうになりがら言う俺に

ふはっと力なく笑う小瀧はそれと同時に地面に倒れこんだ

重「小瀧！！！」

俺は目の前の状況に理解ができなくて

ただただ無我夢中に小瀧の体を揺すった

俺の頭の上から聞こえてくる叫び声が

どこか遠くから聞こえているような気がした