伸ばした手 2 (ページ35)

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｢…おじゃまします…｣

｢あ、そこらへんてきとーに座っといて」

｢あ、はい！｣

家の中は外見に合うシンプルな造りだった。でもどこか落ち着く雰囲気が漂っていて

黒を基調にソファや絨毯が置かれている。広めのアイランドキッチンに寄り添うように4人がけの机があり

天井は吹き抜けになっていて2階から柔らかい光が差し込んでいる。

｢あ...」

｢んー？あーそれは七五三の時の写真やね」

白と黒の縦線の袴。

まだ丈が足りなくブカブカしている足元は少しおぼつかない。

メイクしたことをとても嬉しそうに、いや少し恥ずかしそうに手を肩に添えるお姉さんは彼の後ろに立っている。

「望かわいいやろぉ～こん時から顔だけは良かったんよ～、すぐイタズラするし物壊すわ、しょーもないことで喧嘩するわ、もうほんま大変やったけどな」

「ふっそうだったんですね」

大きなため息をつきながら肩を落とすお姉さん

昔からヤンチャな所は変わっていないみたい

彼が周りを振り回す姿は用意に想像できた