伸ばした手 2 (ページ4)

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藤井side

広場に飛び交う声

励ます声や時に怒鳴る声が聞こえる

小「あーー、あっっつ」

藤「はっあ、もう限界やってー」

重「せやで、あいつっホンマに容赦ないからな」

広場全体を見渡せるように斜めになっている芝生に座り

体が欲しがっていた水分を補給する

シゲの視線の先には今もなお指導を続けているあいつ

桐山先生、通称親方

サッカー部の顧問で

いつも大きく口を開けて笑い、

相談をすると親身になって聞いてくれるらしく

評判はわりと良い方

重「……ぽっちゃりのくせに」

桐「おいっ！重岡っ！聞こえてんぞ、

そこ3人練習サボんな！」

小「うわっ、どこまで聞こえてるん、地獄耳やな」

藤「どこまででも聞こえるんちゃう」

重岡、これ運べ！と桐山先生の声が響き、

それに逃げるようにして広場を駆け回るシゲ

怖い怖いと2人で笑いながら芝生に背中をつけ、

曇一つない空を見上げた

小「あー、暑いけど涼しい」

藤「あはは、望矛盾しとるで」

小「ああ、会いたい」

藤「誰に、」

小「センパイに決まっとるやろ」

当たり前やん、と俺に呆れた顔をして再び空を見上げる

どんだけ好きやねん、と大きな空を仰ぎながら言うと

望は長い腕を一杯に広げてこーんぐらい、と笑う

「なあ、望」

「ん？」

「幸せ？」

そんな当たり前のことを聞いてみると、

案の定うん、めっちゃ幸せと今まで見たことないくらい

幸せそうな顔をする望

「…ええな、幸せそうで」

まあ、俺もそんな望を見るのが幸せやねんけど