伸ばした手 2 (ページ12)

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重岡side

Aたちは、「無事がわかったから今日は帰る」といい

夕日が出てきた頃に帰っていった

小瀧も「また来てな！」なんて呑気な笑顔

重「……小瀧、」

小「………シゲ、どないしたん」

重「……どないしたんやない、どゆことや、さっきの」

小「………しかたないやろ」

重「なにがしかたないねんｯ！」

夕日も暮れ、外が暗くなりはじめたころ

俺はさっきのことを小瀧にぶつけた

俺が怒鳴ると下を向く小瀧

重「……なんで嘘つくん、」

小「嘘なんかついとらん、」

重「ついたやろｯ、……大会間に合わへんのに」

小「……それは、」

言葉を詰まらせる小瀧に、俺はなにも言えなくなって

小瀧の震える肩をつかんだ

重「……無理すんなよ、小瀧、お前は来年もあるやろ、

だから、ゆっくり治して、」

小「…それじゃあダメや、」

重「なんでなん」

小「…センパイたちやって先生やって、……こんな自分

を期待しとるからなって言ってくれてん、

…出れないセンパイたちの分背負ってやってかなあ

かん、それに、」

重「……それに？」

俺の腕を軽くつかんで、顔をあげる

その瞳はゆらゆらと揺れていた

そしてふっと微笑み、あんな、と続ける

小「……約束してん」

重「…約束」

藤「"今度の大会で絶対笑顔にさせたる"やろ？」

重「流星、」

入り口から姿を表す流星

悲しそうな笑顔をしながらゆっくりと歩いてくる

流星の口から出た

"今度の大会で絶対笑顔にさせたる"

これはきっと

重「Aを、か」

小「…ん、」

重「……ホンマに好きやな、Aのこと」

当たり前やん、と笑顔になる小瀧

……どんだけ好きやねん

そんな痛そうな足してんのに

Aの話になるとすぐ顔がパアッと明るくなる

重「なんや見てて鬱陶しいわ」

小「……別にええよぉ、幸せやから

…だから、センパイにはもっと幸せになってもらわ

な、こんなちっぽけな俺でもセンパイを笑わせられ

るならこんなん、全然平気やっ」

包帯がぐるぐると巻いてある足を叩いて痛がる小瀧

むかしからそうやった

小瀧は自分より人のために動いてた

自分よりも人の幸せを願ってた

小瀧はそういうやつやったわ

重「バカやなぁホンマに自分は」

……いいやつやなぁ、お前は