parallel world (ページ8)

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七夕物語ページ8

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私は小さなこの国の王女。

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とはいえ、誰にも存在を知られてはいけないと生まれてからずっと地下にある一室で1人暮らしているけど。

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地下室なんてやる事も少なくて、唯一の楽しみといえばこの国の女王である母が毎日持ってくるアクセサリーキットでネックレスやブレスレット、髪飾りなどを作ること。

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そんな生活にも10年以上も続ければ飽き飽きとするどころか逃げ出したくなるわけで。

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年に一度、＂建国記念日＂と題してこの国の国王と女王である両親が街へと出向き、国中がお祭りモードになるこの日。誰にも知られていない、独りぼっちで過ごす私の誕生日。

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私はついに嫌気がさしてこの城から抜け出した。

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案の定、両親の護衛として駆り出された多くの兵士がいる為、お城はガランガラン。私を知る者は全くいない為、そこらへんにいる貴族のような格好で城内を歩けば誰にも怪しまれずに外へと出られた。

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始めて城外に出た感想は＂変＂

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いつもは私の生活音しか響かないあの部屋とは違って、ガヤガヤと騒がしい音。
コツコツと冷たい音が鳴り響くあの床の音とは違って、ザッザッと土の音がする植物が生えた街の地面。

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初めてのことだらけで、よくわからない。だけど今私のいるこの場所が、この国の普通だといい。そう思った。

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慣れた様子で生活している市民に紛れて、辺りをキョロキョロと見回しながら歩いていると、後ろから声をかけてくる2人の男の人達。

＂お困りですか？お嬢さん＂

＂私達に何か美しい貴方のお手伝いさせていただけますか？＂

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親切に声をかけて来てくれた彼らに、折角だから何か教えてもらおう。そう思ってしばらく考えると頭の中にパッと浮かんだもの。

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『…飾り物、置いてあるお店を教えてもらえませんか？』

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暇さえあれば母が退屈しのぎにと置いてくれていたアクセサリーキットで作る中でも1番好きだったのが髪飾り。自分で髪の毛を結って、その仕上げに自分で作った髪飾りをつけるとパッと心が明るくなる気がするから。

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実際に職人さんが作ったものを見てみたい、そう思って聞いてみると、2人は快く笑顔で頷いてくれ、早速道案内を始めてくれた。

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