parallel world (ページ3)

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とりあえず隣の部屋に行き、
仕立てられるように準備をしていると
コホンッと１つ、わざとらしい咳払い。

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「隣の部屋の男に、私はここで仕立てるように言われたのだがあっているか？」

『あの、お名前は…』

「ジディだ。」

『ジディ様。…はい、お待たせして申し訳ありません。』

「いや、構わない。」

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ジディ様は慣れた手つきで仕立ての準備に入り、
私はいくつもの布をジディ様へと巻いていく。

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ジディ「名は、Aといったな」

『はい』

ジディ「Aは美しい男が嫌いなのか？」

『は？…あ、いや、』

ジディ「あの男が連れてくる女は皆、私の仕立てをすると顔を赤く染めていたが…Aの顔色は至って普通のようだ」

『…女はどれも同じだと思わないでいただけますか』

ジディ「…さあ、それはどうかな」

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そう言うと、腰に布を回していた私の腕を掴み顔をグッと近づけたジディ様。

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『…何をしてるんですか。離して下さい』

ジディ「口付けは嫌いか？」

『突然何を言っているんですか。＂変人＂ですね…』

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＂変人＂

その言葉を口にして目を丸くしたジディ様にハッと我に帰る。

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いつもの癖でズバズバと…やってしまった。

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『…申し訳ありません。大変ご無礼を、』

ジディ「許さぬ。腕を出せ」

『え、』

ジディ「いいから。早く出せ」

『あ、ああ、あの、切り落とすとかは反則…っひぃ！』

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中々腕を出さない私に痺れを切らしたのか、
強引に右腕を引っ張り袖を捲り上げたジディ様に目をつむる。

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『…っへ、何を…』

ジディ「見ての通り、私の名だ。しばらくは洗っても消えないだろう。これが消えるまで、お前は私の＂話し相手＂となれ」

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擽ったくてゆっくりと目を開ければ、
筆で書かれた＂ジディ＂の文字。

試しに擦ってみても掠れもしない。

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『…そんな遠回しに頼まなくても話しくらい聞きますけど』

ジディ「いちいち口に出すな」

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