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「……王女、様？」
『…生まれてからずっと、誰にも存在が知られないようにってお城の地下室で1人ずっっと暮らしてきた。…あの日、テヒョンに出会ったあの日は、私の誕生日。ずっと我慢してきたけど、もう限界で…兵士のほとんどが街についていくから隙を見計らって逃げ出したの。』
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『…そしたら、男達にまんまと騙されて逃げて…テヒョンが助けてくれた。本当にっ…今まで過ごした誕生日の中で…生きてきた中で、1番の、思い出の日になった！…あの日から今日までもずっと幸せで、幸せすぎて夢なのかなって怖くなったけど、その度にテヒョンが手を握ってくれて、あぁ、生きてるんだって思ったの。』
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『本当に…愛してる』
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キョトンとしているテヒョンに唇を押し付けると、自分の目から零れ落ちる涙の、しょっぱい味がした。
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『…もし、私と同じ気持ちでいてくれるなら…来年の私の誕生日、ここでまた会ってくださいっ…！っ、じゃあ、行くね…』
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ポタポタと溢れる涙を拭って、振り向かないように歩き進めるとそれは愛しい温もりによって阻止された。
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「…本当の名前は？なんていうの？」
『っ、…A、』
「A…行かないで…」
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そう耳元で嘆くと、回された腕にグッと力が込められる。
『…駄目だよ、テヒョンが何されるかわかんない…』
「俺は何されても、ずっとAを守って隣にいるから！だから、Aも俺の隣にずっといてよ…！」
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そう言うテヒョンはどうやら泣いているようで、静かなその場には2人の泣き声が響く。
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『っ、テヒョン。…未来の私達が2人で幸せに暮らすために、今は我慢しよう？』
「…っ、未来の、俺達？」
『そう。きっと未来の私達はこれでもかっていうくらいずーっとくっついて離れないくらい、幸せに暮らせるはずだから…今は我慢。』
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『…その時が来たら、私達が離れる必要が無くなったら、ずーっと、一緒にいてくれる？』
「当たり前っ…！…絶対、来年のAの誕生日、忘れずにここに来るんだよ？」
『うん！テヒョンこそ、忘れないでね』
「絶対に忘れない。…またね」
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最後に交わしたキスの温もりは、
別れてからも、いつまでも唇に残り続けた。
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作者名：蓮夢
| 作成日時：2019年5月6日 23時
