少女Aの譫妄 ページ46
ー紗羽sideー
優しく私を手当してくれるA。
「傷深くなくて良かった…」
『ありがと』
「あ、喉乾いたよね、お水持ってくるね！」
『…』
部屋を後にしたAを見送り息を吐く。
暫くして廊下から人の気配を感じ、
「紗羽ちゃーん。入るよ〜」
『…どうぞ』
Aと思っていたら扉を開けたのは紙袋を手にした片岡さんだった。
その後ろに続く岩田さんから視線を逸らし彼を見上げる。
「服、汚れ落ちたよ〜」
片岡さんの声と共に障子が閉められた音が聞こえ、思わず入口を見遣る。
「…これ鞄ね、汚れてなかったからそのままだけどいいっしょ？」
『はい…』
彼から鞄を受け取り胸に引き寄せる。
「でさ。岩田ちゃんがどうしても気になるから聞きたいらしいんだけど〜」
廊下の薄明かりで部屋の障子の前で佇む黒い影が浮かび上がった。
脳裏を嫌な予感が過ぎった瞬間、
『っ、』
衝撃を感じると同時に、上に伸し掛る重みと大きな掌で塞がれた口
「これ何？」
漏れたであろう悲鳴は、口を塞ぐ手に封じられた。
「護身用にしては物騒すぎじゃない？」
首を傾げ私の目の前に折りたたみナイフをかざし呟く岩田さん。
「さては紗羽ちゃん、これで誰かぶっ刺そうと思ったりしちゃった？」
片岡さん笑いながら私の顔を覗き込む。
「こういうしょぼいのは考えて刺さないと大変よ？…しかもさ、こんなの持ち歩きながらAの周りちょろちょろされると俺等困るんだけど？…つーか、」
彼の笑顔が冷酷な表情へ変貌する。
「俺、前言ったよね？勿体ないことすんなよって。な？」
首を傾げた片岡さんは
「もったいねぇことしてくれちゃってんじゃねぇかよ」
そう低く吐き捨てる。
不意に小さな音がして銀色の刃が鈍い光を放つ。
刃先を見つめる視線を、私に移した岩田さんの雰囲気に、恐怖で身が竦む。
『っ、』
不意に、トンと障子の枠を叩くような音が聞こえ、2人の視線が入口に向けられた。
「、まぁ、とりあえずこれは没収！
……あんまりナメた真似すんなよ、お前。」
朗らかにそう言った後、低い声で囁いた片岡さんは岩田さんから受け取ったナイフをしまう。
「…岩ちゃん。A、くる」
呟いたその言葉に、口を塞いでいた手を離し私の上から退いた岩田さんを見上げる。
なんだ。
最初から答えは分かっていたじゃない。
『Aを─────」
ゆっくり零した私の言葉を聞いた岩田さんは静かに眼を見張った。
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やぁ(プロフ) - こんばんは。はじめまして！この作品が大好きで何度も読ませて頂いております。9のパスワードを教えていただきたいです。よろしくお願い致します！ (4月8日 23時) (
レス) id: afb0f19d33 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - こんばんは🌃いつも楽しく見させて頂いています。９のパスワードを差し支えなければ教えて頂けないでしょうか? (1月3日 21時) (レス) id: 9ba221d380 (このIDを非表示/違反報告)
うゆ(プロフ) - はじめまして。この作品が大好きで何回も読ませていただいております！もし、差し支えなければ9のパスワード教えていただかないでしょうか？ (12月16日 16時) (レス) id: 8ef99b4bc6 (このIDを非表示/違反報告)
博子(プロフ) - 続きが読みたいので、パスワードを是非教えて下さい！ (9月17日 7時) (レス) id: dc8dec8862 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 初めまして。最近この作品と出会って一気に読ませていただきました。続きはもう読めないのでしょうか？ (7月14日 10時) (レス) id: 222fa2acf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：jiu.
| 作成日時：2019年6月2日 20時
