▽ ページ30
「臣さんが何でここにいろって言ったか分かんない？」
『分かんない…』
私の言葉に岩くんがじとりとした視線を投げる。
「説明が面倒なの。」
『…はい？』
「俺らが昨日あれだけ言ったにも関わらず鍵を家に忘れたこととか、連絡もせず軽率にここに来たこととか、説明面倒くさいの。だったら本人から直接言ってもらった方が手っ取り早いでしょ？ あ、説明じゃなくて言い訳か。」
朗らかにそう言って笑う岩くん。
『軽率って！だって携帯忘れちゃたから連絡できないし、家の玄関で待ってるのも嫌だし、私も乗り気じゃなかったけどこれしかなかったんだもん！』
「だからそれを広さんに言えつってんの」
ね？と首を傾げる岩くんに、言葉が詰まる。
『それは…つまり、怒られろと？』
「うん」
『…』
為す術も返す言葉もなくて黙り込む私に満足したように立ち上がる岩くん。
何か、散々な言われようだ。
確かに元はと言えば寝坊して、携帯も鍵も忘れた私が悪いんだけど。
『…帰ろうと思ったけど、開かなかったんだもん』
「何？なんて？」
思わずと零した声に、岩くんが眉間に皺を寄せた。
『…ここ入ってから、やっぱ帰ろうと思ったの。そしたらドアが開かなかったの。』
「…」
『入った時は自動で開いたから、故障したのかなって、』
「…故障ね」
私の言葉に低く呟いた岩くんを見上げると、微笑む岩くんと目が合った。
何、？
「故障じゃないよあれ。
…鼠取り。」
『ねず、み？』
不思議そうな表情を浮かべる私を見て、岩くんは可笑しそうに笑う。
鼠捕りってことはつまり、
『入ったら出られないってこと？』
「…」
呟いた言葉に岩くんの笑顔が無表情に変わる。
「出られないっていうか、」
ソファに座る私に、覆い被さるように視線を合わせる岩くん。
「逃がさない、かな？」
冷たい色を宿した瞳に見据えられ、思わず息を飲む。
『…そんな所なの？』
掠れた声で問う私に、私を見下ろす岩くんの目がゆっくりと細められる。
「そういう場所だよ、ここは」
低く呟く、その瞳の奥を、妖しい光が過ぎった。
『っ、』
「…なんてね」
静かに私から離れ、冗談。と、大きな手が私の頭を撫でる。
「すぐ終わるから待っててね。雨だし、一緒に帰ろ」
微笑む岩くんに頷くと、安心したような表情を浮かべた。
「じゃあ、また」
部屋を出る岩くんを見送りソファに背中を沈める。
『…もう絶対来ないようにしよう』
静かな部屋に、私の決意が響いた。
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やぁ(プロフ) - こんばんは。はじめまして！この作品が大好きで何度も読ませて頂いております。9のパスワードを教えていただきたいです。よろしくお願い致します！ (4月8日 23時) (
レス) id: afb0f19d33 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - こんばんは🌃いつも楽しく見させて頂いています。９のパスワードを差し支えなければ教えて頂けないでしょうか? (1月3日 21時) (レス) id: 9ba221d380 (このIDを非表示/違反報告)
うゆ(プロフ) - はじめまして。この作品が大好きで何回も読ませていただいております！もし、差し支えなければ9のパスワード教えていただかないでしょうか？ (12月16日 16時) (レス) id: 8ef99b4bc6 (このIDを非表示/違反報告)
博子(プロフ) - 続きが読みたいので、パスワードを是非教えて下さい！ (9月17日 7時) (レス) id: dc8dec8862 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 初めまして。最近この作品と出会って一気に読ませていただきました。続きはもう読めないのでしょうか？ (7月14日 10時) (レス) id: 222fa2acf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：jiu.
| 作成日時：2019年6月2日 20時
