▽ ページ37
『…好きだったんだね』
「……え、」
『雅人くんのこと、本気で、好きだったんだね。嫌いになりたくないって、思うくらい。』
「っ、」
『ずっと一緒にいたら、ダメになる、大好きな人が、嫌いな人に変わってしまうくらいなら、少しでも、綺麗な思い出のまま終わる方がいい。』
『…そう思うくらい雅人くんのこと、好きだったんだね。』
私を見る優芽の瞳にじわりと涙が滲んだ。
「、私っ、…っ」
『…うん』
「雅人のことっ、本当に…っ、…本当に好き、だったっ、！…っ、好き、…、でもっ、…」
『うん。分かってるよ、大丈夫。』
ーもう、一緒にはいられないー
その一言を言葉にさせてはいけない気がして。
自身が吐いた言葉に、傷つく優芽を見たくなくて。
声を震わせる優芽の細い肩を引き寄せる。
『頑張ったね…優芽、』
私が小さく落とした言葉に、優芽は小さく嗚咽を漏らした。
優芽を抱きしめながら、見上げた空は星が輝いていて。
こんな時でも声を上げて泣かない優芽。
どこまでも強く、大人な優芽が
涙をこぼして泣いても、分からないくらい、空が暗くなればいいと思った。
────────────────
家へと続く坂道を優芽と下るを
「泣いたらすっきりした！心機一転！」
笑顔を浮かべてそういった優芽の痛々しさが残るのその表情に、何も言葉を返せなかった。
改めて、優芽は強い人だなと思った。
『……』
もし私だったら、 優芽みたいな選択ができるだろうか。
好きな人と離れたくない、でも離れないとお互い駄目になる、
そんな時私はどうするんだろう。
「A？」
立ち止まった私に振り向いた優芽が、不思議そうな表情を浮かべる。
『…』
何度考えても、やっぱり分からない。
『何でもない、行こう。』
優芽に追いつき、家へと足を進める。
いつかできると、広臣くんは言った。
Aなら、いつかできると。
でも、本当に出来るだろうか。
私も、優芽のように、他のみんなのように、本気で誰かを好きになれるだろうか。
離れたくないと言って泣ける相手が。
『……』
私はどこかが欠落してるかもしれない。
もし、そう言ったら。
おじさんは、みんなは、
広臣くんは、どんな表情を浮かべるだろう。
雲に隠れていた月が現れて、
私と優芽の歩く道に、影をつくった。
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happytaimama(プロフ) - 今晩は。こちらの作品何度も読み返して読ませてもらっています。続きを読みたいので、パスワードを教えていただけますか？宜しくお願いします。 (2月16日 18時) (
レス) id: 4f1df4c5a4 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - 感動しました。 (2020年12月16日 14時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
梨紗(プロフ) - もう更新はないのでしょうか……？ (2019年1月25日 23時) (レス) id: 5703e26db8 (このIDを非表示/違反報告)
м i i(プロフ) - 続き楽しみにしています！！ (2018年12月28日 1時) (レス) id: 223aa4411e (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - 待ってますすすすby mj (2018年12月24日 18時) (レス) id: 866e6acc2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：jiu.
| 作成日時：2017年11月22日 11時
