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お昼寝から起きたら外はすっかり暗くなっていた。
お昼を食べて、部屋でグダグダしていたら眠ってしまったみたいだ。
寝癖を整えながら大広間の襖を開けると、煙草をふかしながらテレビを見ていたケンチくんと哲也くんと将吉くんが振り向いた。
「お目覚めですかー?」
『…超寝ました』
哲也くんの間延びした声に返事を返し、机に腰を下ろそうとした時、向かいの将吉くんの隣で寝転ぶ直人くんに気が付く。
《月刊クロスワードーDXー》と書かれた雑誌を広げたまま顔に乗せ、寝息を立てている直人くんから視線を外し、テレビを見る。
ニャア…
廊下側からカリカリと音がして、開けてくれとせがむまぐろの声に、ケンチくんが後ろ手で襖を開けた。
お礼を言うように、ケンチくんの膝に頭を擦り寄せたまぐろが、机の上に飛び乗ったと思ったら、止める間もなく机を横切り、直人くんのお腹に飛び降りた。
「…うっ、」
小さな呻き声をあげ、顔に載せていたクロスワードをずらした直人くんが顔をあげる
「何今の!すげぇ振動が…ってお前かよっ」
「直人さんなめられてますねー」
目を擦り、お腹に乗るまぐろに溜息をこぼす直人くんに、将吉くんが笑う
「こいつ、」
体を起こしまぐろを撫でていた直人くんを盗み見ていたら、不意に顔を上げた直人くんと、視線があった。
『、』
逸らすのも不自然な気がして、少し緊張しながら直人くんを見つめる私を、無表情で見つめ返す直人くん
亜嵐くんは昨日、怒ってないって言ってたけど。
本当、かな
『ク、クロスワード、!』
少し噛みながら、声を上げた私に、ケンチくんが、ちらりと視線をこちらに向けるのを感じながら、直人くんを見つめる
『毎回買ってるの?』
そう聞いた私に、直人くんは口元を緩めた
「当たり前じゃん?」
朗らかに言いながら、床に転がっていた派手な色の雑誌を捲り、
「そういやAに聞こうと思ってたんだよね、ここの横のカギ、いくら考えても分かんなくてさー、」
私の前にページを広げた直人くん
「教えて?」
『…きどたかよし』
[維新の三傑の1人、長州出身]と書かれた問題に目を通し、小さく呟くと、
「さすが」
嬉しそうに笑った直人くんが、机に置かれていたボールペンを握る
「そもそも問題が読めねぇよって感じでさ、」
助かる、と言って笑うその姿は、普段と変わらない直人くんのままで。
『…歴史は、得意だから、』
そう答える私に、笑いかける直人くんに、安堵が押し寄せた。
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happytaimama(プロフ) - 今晩は。こちらの作品何度も読み返して読ませてもらっています。続きを読みたいので、パスワードを教えていただけますか?宜しくお願いします。 (2月16日 18時) (レス) id: 4f1df4c5a4 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - 感動しました。 (2020年12月16日 14時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
梨紗(プロフ) - もう更新はないのでしょうか……? (2019年1月25日 23時) (レス) id: 5703e26db8 (このIDを非表示/違反報告)
м i i(プロフ) - 続き楽しみにしています!! (2018年12月28日 1時) (レス) id: 223aa4411e (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - 待ってますすすすby mj (2018年12月24日 18時) (レス) id: 866e6acc2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:jiu. | 作成日時:2017年11月22日 11時