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「……会長、」

「公私混同してるなぁ」

頭を下げる俺たちに苦笑した広さんは、立ち尽くす俺達の傍にゆっくりと近づいてきた。

「A、相原さんの家からいなくなったんだろ?」

「「「……」」」

無言で頭を下げた3人に、そんな予感はしてたんだよなぁ、と呟いた広さんの伸ばした手に、メモを手渡す。

内容を読んだあと深いため息をつき

「手のかかる姪っ子だな、」

困ったようにメモから目を離した広さんが、俺を見つめる。

「そう思わないか?」

『…そうですね』

俺の言葉に苦笑した広さんは、直人くんの方に向き直った。

「相原さんは、何て言ってた?」

「朝起きたらいなかった、と。」

「そうか………このメモの場所に、心当たりはある。

Aにとっては、きっといい思い出がない…

俺もあまり留まって欲しくはないと思ってる場所だ。」

『……』

「迎えに行ってやりたいが、きっと今のAは、俺ではダメだ。」

「…」

「そう思って、直人は敬浩にこの話をしたんだろう?」

「、申し訳ありません」

深々と頭を下げる直人くんの肩を広さんが優しく叩く

「…気使わせたな、悪かった」


顔を上げた直人くんにありがとう、と呟いた広さんは再び俺に向き直った。


「俺は、Aのことを“迎え“に行ってしまう。それじゃ意味がない。…敬浩、」

『はい』

「Aに、“会い”に行ってやってくれないか?


…お前じゃなきゃ、駄目だ。」


そう言って俺を見るその目には、寂寞の思いが滲んでいた。

『分かりました。』

俺の言葉に、広さんは静かに笑った。

「お前らもありがとう、悪かったな、仕事中に。今日は早め上がれよ?」

小さく首を振る3人を見渡して微笑んだ広さんがゆっくりと出口へ向かう

「だからさっきからさ、」

頭を下げる俺達に、襖を開けながら呆れた表情を浮かべた。

「公私混同だって。」

苦笑しパタンと閉められた襖に頭を上げると、同じく頭を上げ気まずそうな表情を浮かべる直人くんと目が合った。

『直人くんってさ、怖いよね』

「…そう?」

『でもありがと』

引き出しの中から車の鍵を抜き取り、財布と携帯がポケットにあることを確認して大広間の襖を開ける。

『…早く仕事戻りなよ?』

ウィンクしながらそう告げ襖を閉める。

岩ちゃん、呆れた顔してんのバレバレだからね?

『…さてと、』

思いっきり伸びをすると、首が小気味のいい音を立てる。

『ったく、放蕩娘め。』

どうせ一人で鬱々としてんだろうな。

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happytaimama(プロフ) - 今晩は。こちらの作品何度も読み返して読ませてもらっています。続きを読みたいので、パスワードを教えていただけますか?宜しくお願いします。 (2月16日 18時) (レス) id: 4f1df4c5a4 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - 感動しました。 (2020年12月16日 14時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
梨紗(プロフ) - もう更新はないのでしょうか……? (2019年1月25日 23時) (レス) id: 5703e26db8 (このIDを非表示/違反報告)
м i i(プロフ) - 続き楽しみにしています!! (2018年12月28日 1時) (レス) id: 223aa4411e (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - 待ってますすすすby mj (2018年12月24日 18時) (レス) id: 866e6acc2f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:jiu. | 作成日時:2017年11月22日 11時

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