▽ ページ41
「綺麗な、部屋だね」
『そう？古臭くない？』
「ううん、好き。こういう感じ」
ふわりと腰をおろし、部屋を見渡す相原さんの横に座る
『相原さんで、三人目』
「え？」
『部屋に入れた友達』
「･･･そうなの？」
『優芽と、伊杏と、相原さん』
優芽と伊杏も、つい最近きたばっかり。と笑いかけると少し驚いた表情を浮かべた。
「他には入れてないの？」
『ほら、部屋に入れるってことは、家に招くってことでしょ？』
家には連れてこれないし。
と机の上の消しゴムを弄ぶ私を見つめる相原さん
『だから凄く嬉しいよ、今』
「･･･」
沈黙を取り繕うこともなく、消しゴムのカスをパラパラと落としていると
「私ね、」
ぼそりと相原さんが口を開いた
「父親、いないんだ」
『そうなの？』
「うん。お水やってる母親と２人っきり」
『･･･』
「夜中に仕事行って明け方帰ってきて、そこから酒飲むわけでしょ？家中、空き缶とか化粧品とか衣服だらけで汚いの。」
「なんとか高校は卒業して･･･大学に奨学金借りて入ったけど･･･母親が酒に金使うもんだから、お金なくてさ」
「教科書代も授業費も酒代に消えて払えないから、キャバで稼いでたんだけど。」
馬鹿らしくなっちゃった。全部。
机の上の大学のプリントを眺めつぶやいた相原さん。
「大学なんてどーでもいいや。って思っちゃって。キャバで稼いで、自分の好きなことのためにお金使おうって思ってたら、丁度、固定客に枕誘われて。」
『･･･』
「一回枕したら、なんか吹っ切れちゃって。体売れば、お金も貰える、楽しいこともできる。最高だなって。そう思った。」
『･･･』
「でもさ、なんでかな？全然、満たされないの。ブランドのバックが欲しいと、思って、寝て、お金もらって、買っても。すぐ、いらないって思っちゃうの。欲しくない、こんなの必要ないって。」
「寝るたびに、財布の中身は増えていくけど。私の中身がすり減っていく気がしてた。」
「でも、家に帰って酒に潰れて机に突っ伏して寝る親見るくらいだったら、擦り減っても、擦り切れても、私を求めてくれる人のそばにいたいって、思った。」
『･･･』
「でも、なんだか、疲れちゃって。ぼんやりしてるの、頭の中。ぼんやりしながら、ずっと同じことぐるぐる回ってた。このまま誰か消してくれないかなってずっと思ってた。」
「さっきね、敬浩さん？に、言われたよ。」
『え？』
「お前が望むなら、消してやる。って」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 893人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
m'J - この小説超大好きでお気に入りです！なのでこれからも更新楽しみしてます！応援してます！ (2016年2月18日 6時) (
レス) id: 67caf3c985 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - 私も更新待ってました！この小説大好きです(*^^*)これからも読ませていただきます！頑張ってください、応援してます！ (2016年2月17日 23時) (レス) id: 3f2a7317dc (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - あたしも更新待ってました!!これからも楽しみにしてます(´▽｀*)頑張ってくださいねヽ(*´∀｀)ノ (2016年2月17日 15時) (レス) id: e7a8b66f3c (このIDを非表示/違反報告)
m'J - 更新待ってました！やっぱりこの小説は面白くてワクワクします！これからも楽しみにしています！！！ (2016年2月17日 5時) (レス) id: 67caf3c985 (このIDを非表示/違反報告)
彩香 - この小説に一目惚れしました！(>_<) 更新頑張ってください (2016年2月16日 6時) (レス) id: b12c1cc740 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：jiu.
| 作成日時：2016年1月26日 20時
