空気…10 ページ10
﹣
「A、」
「こんばんは、いらっしゃい」
夜。
お風呂あがり、キンキンに冷えた缶ビールを口につけた瞬間、ガラガラと音を立ててベランダの窓が開いた。
夏にしては少し冷たい風が入ってきて、目黒を横目で見つめては会釈。
私の後ろにあるソファにゴロンと寝転がって、彼は私の髪をさらさら、と触った。
「…濡れてる、お風呂上がりか」
「ん、そうだよ」
眠そうに私の頭をくしゃくしゃ、と撫でる目黒を睨むけど、目黒はそんなのも気にせず目を閉じる。
この人は、私より1枚、いや何枚も
私の濡れた髪をくるくると指に絡ませて、目を閉じたまま口を開いた。
「髪、乾かしてあげる」
「いや、もうちょっと乾いてからね」
「いいから。待っててよ」
眠そうでふわふわとしていた雰囲気とは一変、急にむくりと起き上がって目黒は洗面所へと歩いていった。
はぁ、とため息をついても彼には聞こえないから、仕方なく崩していた姿勢を正す。
ぺたぺた、と聞こえてきた足音に振り返れば、目黒は私の使ってるドライヤーを持ってきて、コンセントに繋いだ。
「ん、距離もかんぺき」
「熱かったら言って、」
ブォォ、と音を立てて起動したドライヤー。
目黒の優しい手つきが、私の意識をどんどん遠のかせて。
終いには、がくんと顔が落ちてしまいそうになるほど眠さが頂点に達していた。
「ん、終わった」
「……あり、がと」
眠気覚ましに、と1口呑んだビールは冷たくて、苦くて、目黒とはすべて正反対の味だった。
﹣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2207人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ｍ - めちゃめちゃキュンキュンしてしまい、にやけが止まりません。助けてください。 (2022年9月8日 18時) (
レス) @page6 id: b1e101b2fd (このIDを非表示/違反報告)
ふぃーる(プロフ) - ヤスさん» コメントありがとうございます！こんな男らしくてかっこいい人がいたら素敵だなぁと思いながら書かせていただきました。閲覧ありがとうございました！ (2020年10月28日 16時) (レス) id: c92ee0090a (このIDを非表示/違反報告)
ヤス - うわああああ素敵。ここまで堂々と公開告白されちゃったら認めざるを得ないですね笑笑。男らしいめめ大好きです！ (2020年10月27日 22時) (レス) id: e4ddf66c26 (このIDを非表示/違反報告)
ふぃーる(プロフ) - 暗黒の中であんこ食うさん» ありがとうございます…なんか現実とは違う感じですが。笑 更新頑張ります！ (2020年9月23日 20時) (レス) id: c92ee0090a (このIDを非表示/違反報告)
暗黒の中であんこ食う - 目黒単純で可愛い。すんごいいいですね、なんか、ハイ、、、（語彙少な）更新頑張って下さい (2020年9月23日 18時) (レス) id: d16e00b6b6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふぃーる
| 作成日時：2020年9月21日 23時
