ベスト・カウンセラー《緑・紫》 (ページ1)

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#1 緑side ページ1

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Yシャツが肌に張り付き、そこにいるだけで汗が滴る季節に、悩ませている頃。

暑さに負けてノロノロと坂を登っていれば、

プップー！

静かな田舎には余計に響くクラクションの音。

自分に鳴らされたのかと腹を立たせ後ろを振り向くと、

「乗れ。車の中は涼しい」

窓から眩しそうに気だるく言ったその人は俺の家族同然の人。

憎たらしい事もいっぱい言うけど、それはすべて理由がある。

「今日は予定が入っている」と車を発進させると学校はどうなんだ、とかの質問攻め。

まあその時間が楽しいんやけどさ。

上はともかくいつも黒スキニーに5センチヒール。

元々俺より背は断然高いのに5センチも高くすると180センチ近く。

腰まである真っ黒なサラサラな髪にほぼすっぴん。

人生得しているとしか言えないだろう。

容姿端麗の言葉が似合いすぎるこの人に、何度嫉妬したか。

『Aさん、今日は誰が来るん？』

「…お前の友達だ。あの生意気小僧」

『ふっ、しげか』

「笑うな、けしからん」

25歳というまだ若い年で、カウンセラーをやっている。

高校2年の俺とは9歳差で、子供のときは俺がいじめられていた時学校に乗り込んできて一時期有名になったAさん。

親は死んでしまって、俺とAさんの二人の生活。

不思議と遠慮はなくて、自然と素でいられる時間がAさんといるとき。