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控え室をまわりすっかり少なくなったコンペイトウを手に観客席へ向かうA。レクレーションは終わりに差し掛かっているようで盛り上がりもひとしおである。観客席から離れた通路にまで歓声が反響している。
モタモタしていると客席を取られる、と小走りで進む。と、曲がり角で案の定人とぶつかってしまった。
｢で、デジャブ…すいません、お怪我はありません…か…｣
目線を上げる。予想外の冷たい視線に驚いた。備わっていない表情筋がこわばる感覚。ぶつかった相手は轟だった。
｢いや、大丈夫だ｣
すげなく横を通り過ぎていく轟。15歳の少年から発せられるような気迫ではなかった。
｢怖…俺地雷踏んだかな……？｣
遠くなる背中にはその呟きは聞こえていなかっただろう。
「一回戦、成績の割に何だその顔！ヒーロー科緑谷出久！ ＶＳ ごめんまだ目立つ活躍なし！普通科心操人使！」
ついに始まった決勝トーナメント。スタートの声の後すぐに緑谷が一歩踏み出す。だが緑谷が駆け出すことはなかった。緑谷だけ時が止まったかのように完全停止、心操に背を向けてステージの外へ歩き出した。
｢なになになに！？ヒーロー科の子諦めちゃったのかな？？？？｣
｢ここに来て諦めるって選択肢は無いでしょ…多分個性だ、精神に作用するタイプの｣
Aの読み通り、緑谷は心操の個性で操られていた。このまま心操の勝利にも思われた。が、突如緑谷の手元に突風が巻き起こった。
｢何だあれ！！痛そう！！！！｣
手の痛みで心操の個性が解けたのだろう、緑谷が振り向き心操へ迫る。対する心操も再度個性をかけようと声を張り上げているが取っ組み合いの末、緑谷の背負い投げによって心操が場外となった。
「緑谷くん、二回戦進出！！」
｢いやー普通科の子も惜しかったね！！！流石にステゴロじゃ分が悪いよね普通科は！！｣
｢ステゴロて｣
腕を振り回す計間にAは軽く突っ込む。客席からは退場する心操が見えていた。試合が始まる前より少し堂々とした歩き方だった。
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あかや - とても面白かったです！更新待ってます〜！ (2020年12月15日 13時) (
レス) id: 51d8bbe764 (このIDを非表示/違反報告)
ぱすてる - とてもよかったです(´；ω；｀) (2020年4月19日 18時) (レス) id: d34f4e9add (このIDを非表示/違反報告)
八百(プロフ) - みんなが名前を呼んでるとこでちょっと涙出ちゃいました…更新待ってます！ (2019年3月29日 21時) (レス) id: db047f61b6 (このIDを非表示/違反報告)
音春(プロフ) - 更新頑張ってください！(受験勉強も) (2018年12月1日 17時) (レス) id: f210cca1fd (このIDを非表示/違反報告)
星を見守る砂岩(プロフ) - すごく面白いです！更新頑張ってください！ (2018年11月16日 21時) (レス) id: 5a8ebe94bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さも | 作成日時：2018年2月9日 2時
