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まず初めに、ざざん、ざざんと波の音があった。
聞き慣れないような、懐かしいようなその音を拾って俺は意識を浮上させていった。
頬にざりざりとした感触、それを砂だと分かって伏していた体を上げる。
俺は海岸に打ち上げられていた。
砂を掻く足は日差しに照らされてキラキラと瞬く。
俺の体はツルリとなめらかで透けていた。
ここは緒の浜ではないと気づいて、でも何処かは分からなくて、ただぽつんと立ち尽くしていた。
声が聞こえる。破れた制服が風に揺れた。
そうやって俺はこの世界に生まれ落ちた。
｢それじゃあ、合格を楽しみにしてるよ｣
小さな足をぴょんと振って軽快にソファーから降りる小動物。世にも珍しい動物に個性が出た例だという根津校長をAは見送る。
合格、とはもちろん雄英高校ヒーロー科入学試験の合格だ。
Aはとある理由で入学試験を受けることは叶わないとされていた。だがAの情報を聞きつけた雄英側からの“特別推薦枠”という措置。まあこれにはAの所属する組織の存在が大きい。 組織と雄英相互の働きかけの上で成り立った例外である。
雄英高校ヒーロー科は一学年に本来一般入学生36人、推薦入学生4人の合計40人で構成される。だがイレギュラーな特別推薦枠の為に一般入学生37人へ定員が増えたのである。
だが倍率300倍には影響はない。特別推薦枠での入学は過去にも存在しているが、推薦された人物は決まっており試験によって入学するか否かを判定するものだ。 不合格ならば本来と同じく40名での編成となる。
Aはこのせっかくのチャンスをものにしようと日々努力を重ねていた。
自己採点の結果、筆記試験は合格確実である。残りは実技試験のみ。
校長の車が走り去るのを施設の出入口から見送ったあと、Aはトレーニング室へと向かった。
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あかや - とても面白かったです！更新待ってます〜！ (2020年12月15日 13時) (
レス) id: 51d8bbe764 (このIDを非表示/違反報告)
ぱすてる - とてもよかったです(´；ω；｀) (2020年4月19日 18時) (レス) id: d34f4e9add (このIDを非表示/違反報告)
八百(プロフ) - みんなが名前を呼んでるとこでちょっと涙出ちゃいました…更新待ってます！ (2019年3月29日 21時) (レス) id: db047f61b6 (このIDを非表示/違反報告)
音春(プロフ) - 更新頑張ってください！(受験勉強も) (2018年12月1日 17時) (レス) id: f210cca1fd (このIDを非表示/違反報告)
星を見守る砂岩(プロフ) - すごく面白いです！更新頑張ってください！ (2018年11月16日 21時) (レス) id: 5a8ebe94bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さも | 作成日時：2018年2月9日 2時
