Umbrella 【arsN.K BD企画】 (ページ8)

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年上の人にはあこがれが強くって、恋って思いこんでるだけかも。

男性に免疫がなくて優しくされたから、恋って思いこんでるだけかも。

あんまり恋愛自体したことないから、恋って思いこんでるだけかも。

寝る前、目を瞑ってから私は少しだけ考えた。

でもやっぱり、なんか違う。

これが一般的に恋じゃなくてもいいから、恋って思いたいって思った。

きっと会ったらドキドキして話ができない。

目を見ることすらできないかもしれない。

そんな心配をよそに、恋って知った夜から1週間、梅雨時には珍しいくらい快晴が続いた。

雨は憂鬱だけど、私はなによりも二宮さんに会いたかった。

きっと彼は、雨の日じゃなくてもあの電車の後ろにいるから。

雨でびしょびしょになってもいいから、風邪をひいてもいいから会いたい。

高校3年生の私はそんな卑怯な手しか考えつかない。

・

それから雨が降ったのは、次の週の火曜日だった。

かれこれ二宮さんとは10日くらい会ってない。

好きな人に会えないのはちょっと寂しい。

「あっ…」

今日はホームで見つけた。

相変わらず、イヤホンを耳に突っ込んですました顔で音楽を聴いている。

その姿でさえ、私の心はぎゅうぎゅうに締め付けられた。