Umbrella 【arsN.K BD企画】 (ページ5)

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そんな彼を見ると、目が合ってフッと笑われた。

「ごめんね、急に話しかけたりなんかして。」
「いえ…わっ…！！」

そのあとの言葉に詰まっているとき、乗りなれた電車は大きな音を立てて急ブレーキを立てた。

その時、後ろにいた彼は大きく揺れた私を支えてくれた。

そして、今まで感じたことがないくらい心が窮屈になった。

「大丈夫だった！？」

後ろの彼はとっさに私を心配してくれる。

男性に免疫のない私は、その焦って心配してくれてる表情にどうしようもなくときめいた。

「あ、はい…大丈夫です、ありがとうございます…」

そんな私たちをよそに、車内にいる大勢の人たちはざわざわとし始めた。

「何があったんだろう。」
「そうですね…」

ざわざわが続く中、車内で放送が鳴り響いた。

どうやら雨の影響で木が倒れて、それに気が付いて急ブレーキをかけたらしい。

外の雨もひどく、ここから歩いて学校に行くのも結構な時間がかかる。

これは…木を片付けない限り電車は動かなさそう。

「電車の事故って、初めてだな。」
「私もです。」

彼は心配そうに外を眺めた。