イエローリップ・ストーリー【S.S】３’ (ページ34)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:35,525 hit

＃１０４ページ34

「翔さんお花見せてー。」

いつものより長い時間リハビリをしたと言ってたが、Aは一向に眠そうな素振りを見せない。

今日は元気なんだな。

よかった。

「今日な、仲直りのつもりで…」

持ってきた花束をAの上にそっと置いた。

Aもいつもと違うってことがわかったみたいで、すごく驚いた様子だった。

「え…？花束…？まって、すごい！」

花束をギュッと抱きしめるもんだから、俺は慌てて力を緩めるようにと言った。

「あ、ごめん…嬉しくって。」

そう言ってAは笑う。

「花束さ、真ん中にバラ６本とカモミールを…花束にしてもらったの。」

きっと君なら気づくだろう。

花言葉に詳しい君なら、バラが伝える俺の気持ちを。

「…バラ、６本…『お互いに尊敬し合って、愛し、半分こ。』だよね？」
「Aの言ったとおりだよ。」

バラには本数によって花言葉が変わる。

これも増田さんが教えてくれた。

いろいろ悩んで、俺はこの『お互いに敬い、愛し、分かち合ましょう。』という言葉に惹かれた。

お互いを想う気持ちや、楽しいことを半分に分け合うのも大切だけど、

今はやっぱり苦しい事や悲しいことも半分、って思うから。

俺らにぴったりは言葉だと思った。