イエローリップ・ストーリー【S.S】３’ (ページ28)

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＃９８ページ28

電話というのは、顔が見えない分本音を言えるもの。

…かもしれない。

けど、本音というのは直接でなければいう意味がないと思う。

きっとAもそう思って明日俺に話すはずだ。

何を言われるかなんてわからない。

ましてや泣いている理由もわからない。

でも…

俺が聞いてやらないとAはきっと泣いてばかりだ。

・

約一週間ぶりに訪れた行きつけの花屋。

入るのに戸惑っていると店内から見慣れた店員が見えた。

その店員は俺を見つけるとぱぁっと花が咲いたように笑い俺に駆け寄ってきてくれた。

「櫻井さん！」
「増田さん、ご無沙汰してます。」
「一週間も顔見せないなんて、お仕事忙しくて彼女さんに会えてなかった…感じですか？」
「いや、ちょっとすれ違っちゃって…」
「あー、なるほど、そうゆうことだってありますもんね。」

外は寒いですから、と増田さんと店内に入った。

久々に匂う、いつからか大好きになったいろんな花の香り。

これも全部Aと出会って恋をしたから…

「じゃあ今日は仲直りのお花をあげませんとね。」
「そうですね、今日は…本数によって花言葉が変わる花が欲しんだけど…調べてもよくわからなくって。」
「なるほど！いい考えですね、花言葉と本数リストアップしてきますので少し待っておいてください！」
「ありがとうございます。」

店の奥に入る増田さんを見送りながら俺は花を見渡した。