テンダーサイン７’ 【N.K】 (ページ23)

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２３３．走馬灯。ページ23

自分の気持ちに気づけたなら、次に私がすることは和也くんとの仲直りだった。

｢あん人、俺をかなりやばい奴って思ってそうだよね。｣
｢うん…普段はそんな感じじゃないんだけど…｣

あの時の失望したような眼差し。

それを思い出すだけで、正直、怖くてたまらなかった。

元に戻れるのか不安でいっぱいだった。

｢あれ、これ、さっきの人？｣

智くんは私の部屋に無造作に置いている雑誌の表紙を見て問うた。

｢うん、そうだよ。｣
｢え、そういう仕事の人なんだ。｣
｢知らないの？｣
｢あぁ、ほんとこないだまで留学しててまだ親にも帰ってきたこと言ってないんだよ。｣

確かに彼の名前は3年前なんて誰も口にしていなかった。

それくらい無名だったのに大きくなって、そんな大きくなった彼は私を恋してくれた。

立場とか身分とかも関係なく、ありのままの私を好きでいてくれているのに。

｢恋が成立するのって凄いことって気づいてたはずなのにな…｣

少し考えてしまうと直ぐに私は怖くなって、あの時少しでも揺らいだ意味のなかった気持ちに後悔をしてしまう。

｢もう泣きそうな顔すんな、俺も一緒に考える。｣

やっぱり智くんはいつまでたっても私の大切な大切な人だった。