テンダーサイン７’ 【N.K】 (ページ22)

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２３２．半分。ページ22

智くんと再会した直後とは気持ちの重みが随分と違った。

一時は智くんと和也くんを天秤にかけたくらいだったけど、そんな気持ちもあっさりと無くなり、今は和也くんしか見えていなかった。

「きっとこれが正解で、これが最善なんだと思う。」
「私もそう思う。」

お互いが納得し、感じ取った気持ちは同じだった。

出会うべくして出会い、離れるべくして離れた私たち。

そう、ポジティブにとらえることが私はできるようになった。

「智くんを好きになって、頑張って思い出にしてよかった。」
「俺も、Aとまたこうやって出会えてよかった。」

きっと彼に恋してなかったら私は何かを乗り越えることも、苦しいほどを愛する大切さも、好きな人に対しての思いも気持ちとして半人前だったんだと思う。

智くんに出会って恋して泣いて。

それが今の自分になっている。

そう思うだけで目の前の大切だった人が愛しくて仕方がない。

幸せになってほしいと心から思えた。

「なんでまた泣いてんの、よく出るねぇ。」
「なんでだろ、私にもわかんない。」

智くんはまた笑って私の涙をぬぐってくれた。

彼の笑顔はなんだか清々しかった。