テンダーサイン７’ 【N.K】 (ページ21)

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その一言だけでは生憎私にはよく伝わらず、曖昧な表情しか浮かべることができなかった。

「難しく言っちゃったかな」
「うん…そうかも…」
「でも俺もどんな言葉で伝えたらわからない感情なんだよ…」

そういう智くんだけど、私にも同じような心当たりがあった。

「似てるのかわからないけど、私も…智くんには幸せになってほしい存在だよ」

智くんに裸を見られて、なんだか気持ちがあっさりした。

きっと普通なら見られて恥ずかしいって思ったり相手を男として意識をすると思うけど、そんな気持ちが私にはなかった。

お母さんと久しぶりにお風呂に一緒に入っても恥ずかしくないような、そんな気分。

そんな感情が智くんに芽生えていたっていうことに私は少し驚いていた。

「俺さ、Aが泣いてる声がずっと聞こえてて…絶対体調崩すと思って必然的に気持ちが動いて助けに行った。その時、Aの裸見ても何と思わなかった…」
「え、じゃあ…」

智くんと私は同じ気持ちっていうこと…？

「大切とは思ってる、でもそれが恋愛としてじゃないって気づいたんだ…」
「私もそうだよ…」

ずっと離れ離れだった私たち、一人きりで成長したあかつきにお互い同じ気持ちになれた事を教えてくれた。