テンダーサイン７’ 【N.K】 (ページ20)

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２３０．君の愛。ページ20

一つの物語が終わった時、私はまた涙を流していた。

「また泣いてる、どこにそんな泣くところがあったんだ？」

そう言って智くんは優しく私の涙を拭ってくれる。

私にもよくわからなかったけど、智くんは心の底から私を好きでいてくれていた。

あの時の急な別れのせいで、智くんからの好きとか愛とか全部嘘なんじゃないかって思っていたけどそれは全然違った。

好きでいてくれたからこその結果だと、3年越しに知った。

その三年間はゆっくり過ぎる中で果てしない悲しみと苦しみに包まれていたけど、その時の感情が私の心から一切なくなっていくのを感じた。

「好きでいてくれたこと…ホントは違うんじゃないかって思ってた…」
「なんでそんなこと思うの。」
「だって、毎日が出来すぎてたんだもん…」

あんなに完ぺきな日々、もしかしたら夢だったんじゃないかって錯覚するほどだった。

でもそれはちゃんと紡いできた日々だからこそということが、智くんの言葉のおかげで証明できた。

私は確かに幸せだったんだって思えた。

「俺…気づいたんだけどさ」

智くんはもう一つ話そうかという感じでまた息を吸った。

「多分、Aのこと恋愛として好きなんじゃなくて、ずっと幸せでいてほしいっていう存在に変わってる。」

ふぅと漏らしたその言葉には何か清々しいものが感じられた。