テンダーサイン７’ 【N.K】 (ページ16)

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２２６．君の手。ページ16

どこに居ても涙が出たら止まることはなかった。

泣きすぎておかしくなりそうなくらい、私はずっと泣いた。

その時、浴室のドアが開いた。

「A、そんなに泣いたら大人でも調子崩すから」

智くんはそう言うとバスタオルを持ってきて私に渡した。

「とりあえず出ろ、風呂の温度も熱いしまじで倒れたらどうすんの。」

智くんに渡されたバスタオルで体を包むと、智くんは浴槽にいる私を引き私を支えた。

のぼせているときのようにふらふらして、おまけに頭も痛い。

そうなることをわかっていたかのように智くんは私の体を完全に支えリビングまで誘導してくれた。

今さっき…智くんに久しぶりに裸を見られた。

泣いていてよくわかんなかったのもあるかもしれないけど、不思議と恥ずかしさがなかった。

智くんには、和也くんと違う意味で私を預けることができる、そう感じた。

その感情はどういうものなのかよくわからなかったけど、深く考えるにしても頭が痛くてよくわからなかった。

「とりあえず水飲んで、あと急激に体冷えたら次は風邪ひく。」

智くんはそう言って、自分のなすが儘に私は智くんの言うことをされた。

水を飲み、その辺にあった服で私を包んで、ついでに保冷材も持ってきてくれた。

智くんはやっぱり優しすぎた。