テンダーサイン７’ 【N.K】 (ページ2)

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２１２．苦しみの中で。ページ2

終わりというものは小説通り、突然で残酷なものだった。

いつの間にか智くんに全身を染められていた私は、漠然とだけどこれからもずっとのんびりと彼と時間を共にするんだろうなと思っていた。

でも、それは全然違うものだった。

彼は進路を最後の最後まで迷って進学にして、無事志望校にも合格した。

安心できる中で私たちは高校を卒業した。

進路は別々でも今までみたいに仲良くやっていこうね、って私は変わらず言おうと思っていた。

なのに。

「俺さ、留学することになった。」

その一言を聞いた時、「あぁ、頭が真っ白になるってこういうことなんだ。」と冷静に思えるくらい頭が真っ白になって頭の中が熱くなった。

その時を振り返ると、その瞬間は本当に必死に彼を引き留めた。

離れなくてもお互いが納得できる答えを探して。

それくらい智くんのことが大好きで大好きでたまらなかった。

それでも彼の意志は強く、どこか線を引くことができた。

智くんは思いつくとそれを行動に移すことが得意だし、突発的な部分は今までにもあった。

だからこそ、その時は割と冷静に彼を見送ることができた。

でも、それからが本当に苦しかった。

もう、息もできないんじゃないかって思うほどに。