テンダーサイン７’ 【N.K】 (ページ10)

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２２０．絶対的。ページ10

私が智くんに家の鍵を渡したとき、彼は驚いた表情でカギを受け取った。

「智くんは何もしないって、信じてるから…」
「A…」

智くんは真面目で優しいってわかってるから言っただけなのかもしれない。

今日だけは誰かがそばに居てほしかったからかもしれない。

それに…

「私は…智くんがいなかった年月を知りたい。」

どうしてギリギリで決めた大学に進学しなかったのか。

どうして急に留学しようと思ったのか。

どうして…別れてしまう結果になったのか。

全部、今の私に必要なことだった。

「そうだね…言わなきゃ、だよな。」

智くんがいなくて苦しんだ時間を頑張って一人で修復した私。

その間彼はずっとずっと、何をしていたんだろう。

「部屋…行ってもいい？」
「うん、何か買わないといけないものは？」
「ない。」
「そう」

智くんは私から部屋番号を聞くと、智くんを先頭にマンションへと入った。

今…和也くんはどんな気持ちなんだろう。

そう考えるだけでチリチリと胸が痛んだ。

でも、和也くんと和解するには智くんとの会話が絶対的に必要で。

順風満帆だった私に突然逆風が吹いた。