テンダーサイン７’ 【N.K】 (ページ8)

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２１８．プレイバック。ページ8

私にはこの状況をどう説明すればいいかわからなかった。

好きなのに別れた恋人が突然現れた、と言ったところで「はい、そうですか。」と納得できるわけない。

ましてや和也くんにそんなこと言いたくなかった。

今を大事にしたいのに、過去の気持ちがプレイバックしてきて何を言えばいいのかわからなかった。

「黙ってるっていうことは、弁解する余地もないってことなんだよね。」
「…」
「言い訳も聞きたくないし、きっとAちゃんは何も答えないんだろうね。」

悔しいほど、言葉は出てこなかった。

どんな言葉を繋げないし、今を説明する言葉が見つかることはなかった。

和也くんは溜息を吐き、私から離れた。

「ここで怒るのは大人げないからしない。でも、明らかに信用は失った。」

和也くんはその言葉を放つと私に「今度きちんと話そう。」とだけ告げて軽蔑するような目で車に乗った。

その姿を追いかけることも、抱きしめることも、声をかけることも何もできなかった。

それくらい、今の私は動揺していてどうにもできなかった。

でもそれは和也くんにとっては全部言い訳に過ぎない。

弱い私はただただ、呆然と立ち尽くすことしかできなかった。