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蒼井Aside
「相変わらず、過激だね。」
「うる、せー…」
痛っ…と声を漏らしながらそう言ったナルに、苦しそうにしながらも噛み付いた棗。
丁度その時。爆発に気付いたんだろう。警報が鳴り響いた。
「あーあ。今回ばかりは庇いきれないよ、棗くん。早く逃げた方が良いんじゃないの?でないと君らの苦手な彼がこっちに来ると思うけど。」
「チッ…」
去って行こうとする棗の制服の裾を、慌てて掴んだ。
「んだよ、A。」
『わ、私も行く!』
「…Aは流架んとこ戻ってろよ。」
『棗を一人で行かせるなんて出来ない!私も行く!』
「勝手にしろ。」
そう言って私を待たず進んで行く棗。さっき水玉を庇う様な真似をしたから、怒ってるのかな。
立ち上がってスカートについた土を払い落としていると、ナルが私に耳打ちしてこう言った。
「Aちゃん、君までわざわざ巻き込まれに行く必要はないでしょ。」
『…いいの。誰かに言われて強制された訳じゃない、私が決めた事だもん。私は棗に着いて行くよ。』
そう言って私は、棗の後を追いかけようと一歩足を踏み出した。するとナルは、どうしても私を行かせたくないらしく、腕を痛いくらいの力で掴んで、私を離さない。
「…棗くんは、Aちゃんを縛り付ける鎖だ。」
『ナル…?』
俯いて呟く様に何かを言ったナル。何て言ったのかは分からないけど、いつもとナルの雰囲気が違う事は分かった。それが少し気にかかって、ナルを伺う様に覗き込めば、不意打ちで私をギュッと抱きしめた。
「もう!痛い思いしても知らないからね、Aちゃん!」
『…は、はあ?!何さ、人が心配してだって言うのに!不意打ちで抱き締めんな変態!』
「ええー?僕の事心配してくれてたんだ?Aちゃんってば、ほーんと素直じゃないんだから!」
『キモい!頬擦りすんな!』
「このこのー!ツンデレめー!」
た、助けて棗…!
最後の頼みで棗に助けを求めれば、棗は足を止めて振り返った。
「おいナル、離せよ。」
「…はあ。これ以上棗くんの怒りを買うのは、僕としても嬉しくはないからね。名残惜しいけど、またね、Aちゃん。」
『次は無いから!』
やっとナルから解放された私は、全速力で棗の側に駆け寄った。
「…ったく、テメェは何してんだよ。」
『…棗、怒ってる?』
「ああ、怒ってるさ。」
そう言って棗は、水玉を指差した。そしてゆっくりと、口を開く。
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名無し67465号(プロフ) - とっても面白いです!!3人の関係とか…ナルの今後とかほんとに楽しみです!更新待ってます! (6月10日 1時) (レス) @page40 id: 4d7900bf24 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 初コメ失礼します!私、愛され&逆ハー大好物なので嬉しいです!学園アリスのキャラ全員推しなので嬉しいです!更新頑張ってください! (2023年4月27日 6時) (レス) id: 3b02df20c8 (このIDを非表示/違反報告)
MIMI(プロフ) - とっても面白かったです!忙しいと思いますが、続き読むの楽しみにしてます!! (2020年6月25日 6時) (レス) id: f110a4bf7d (このIDを非表示/違反報告)
椿 - 学園アリス、初めて読んだけどとても面白かったです。お忙しいとは思いますが、無理をせずに更新頑張ってください!応援してます!! (2020年4月18日 22時) (レス) id: 314144f7d7 (このIDを非表示/違反報告)
Σ(・д・) - とっても面白いです!続き頑張って下さい! (2018年2月26日 22時) (レス) id: b4b3e9b57b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マダム・リリー x他1人 | 作成日時:2017年1月21日 6時