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蒼井Aside
「先生、うちのアリスって蛍や他の子達みたいに人の役には立ったりせえへん力なん?」
「どんなアリスだって、その人の心次第で毒にも薬にもなる。今は役に立たない様に見えても、訓練次第で思わぬ効果を発揮するかもしれない。」
その言葉を聞いた水玉は、ナルをジッと見つめて目を輝かせていた。怖いくらい純粋で真っ直ぐな、まるでソイツの心を表している様なその目は、私には眩し過ぎる。
「もしかしたら、こうしている今もどこかで、君の力を必要としている人がいるかもしれない。」
そう言ったナルは、意味深に私を見つめて微笑んだ。
『な、何…』
「いーや?」
『何その顔、気持ち悪い。』
「…Aちゃーん?やっぱり罰が必要かなー?」
『ちょっ…こ、こっち来ないでよ!』
これ以上近付かせない様にナルの体をめいいっぱい押しながらそう言えば、ナルは仕方ないと言わんばかりの表情を見せながら水玉に向き直った。
「それじゃあ蜜柑ちゃん。改めまして、アリス学園へようこそ。歓迎します、佐倉蜜柑さん。」
「はい!」
元気良く頷いた水玉を見て、思った。コイツはこの学園の真実を知っても、ここに来て良かったと笑っていられるのだろうか。自分の足でここに来た事を、後悔する日は来ないのだろうか。
心配そうに覗き込んでいる流架の顔を見て、ハッとした。こんな事考えたって意味がない。どうにかするのはアイツ自身だ。私には棗も流架もいる。あんなセクハラ水玉パンツ、どうにでもなればいい。
「A、大丈夫?」
『え、何が?』
「…ううん、何でもない。」
『そう?』
ふと、私の膝に頭を預けていた棗を見た。
『お、おはよ…』
「…A。」
そう言って片手を私の頬に優しく添える棗。その手に擦り寄る様にしてみれば、棗は少しだけ顔を緩めた。
「猫かよ。」
『ふふ、血統書付きのね。』
「ははっ、そうかよ。」
少し冗談を言い合っているうちに目が覚めてきたのか、私の肩越しにナルを見つけた棗はハッとして体を起こした。
無理はしない方が良い、という私と流架の忠告は、もう耳に入っていない。
「ナル、テメェぶっ殺してやる…!!」
「あれ、思いの外目覚めるのが早かったね。それにしても予想通りの反応。いやぁ、怒ってるとは思ってたんだよねぇ。」
ナルのその態度に煽られた棗が、ナルに向かってアリスを使った。
余程棗は怒っていたんだろうか。珍しく派手な爆発が起きた。
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名無し67465号(プロフ) - とっても面白いです!!3人の関係とか…ナルの今後とかほんとに楽しみです!更新待ってます! (6月10日 1時) (レス) @page40 id: 4d7900bf24 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 初コメ失礼します!私、愛され&逆ハー大好物なので嬉しいです!学園アリスのキャラ全員推しなので嬉しいです!更新頑張ってください! (2023年4月27日 6時) (レス) id: 3b02df20c8 (このIDを非表示/違反報告)
MIMI(プロフ) - とっても面白かったです!忙しいと思いますが、続き読むの楽しみにしてます!! (2020年6月25日 6時) (レス) id: f110a4bf7d (このIDを非表示/違反報告)
椿 - 学園アリス、初めて読んだけどとても面白かったです。お忙しいとは思いますが、無理をせずに更新頑張ってください!応援してます!! (2020年4月18日 22時) (レス) id: 314144f7d7 (このIDを非表示/違反報告)
Σ(・д・) - とっても面白いです!続き頑張って下さい! (2018年2月26日 22時) (レス) id: b4b3e9b57b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マダム・リリー x他1人 | 作成日時:2017年1月21日 6時